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ブックマーク / hyperion64-universe.hatenadiary.org (6)

  • 三種類の日本人の統計学史の相互不可侵 - サイエンスとサピエンス

    三種類の統計学史というのは、北川敏男と竹内啓、それに宮川公男のものであります。 それぞれに扱う対象は微妙に異なります。 北川敏男のものは欧米を中心とした統計学の発展を主としているし、竹内啓はもう少し幅が広く、統計の対象となる社会的な集計行為(人口、家族センサス)の始まりと理論の並行発展を扱っている。他方、宮川公男のものは明治時代以降の国勢調査、経済統計導入の歴史を丹念に追求していた。つまり、制度の歴史である。 ここでの、相互不可侵というのは、お互いの引用がほぼゼロということを指す。それぞれ、九州大、東大、一ツ橋大という異なる出自があるのだろう。 これだけ統計とその歴史という狭いテーマにおいてさえ、学際交流がないというのことだろうか。 統計科学の三十年―わが師わが友 (1969年) 作者:北川 敏男 共立出版 Amazon 歴史と統計学: 人・時代・思想 作者:竹内 啓 日経BPマーケティン

    三種類の日本人の統計学史の相互不可侵 - サイエンスとサピエンス
  • 災害は起きる、予想外の順番で - サイエンスとサピエンス

    2014年9月時点で、エボラ出血熱は西アフリカで猖獗を極めている。ところで、昨年にエボラ出血熱の流行を予測した人はいない。もちろん、『アウトブレイク』(1995)でハリウッドが映画化したのはもう十数年前だから、多くの人々はその危険性と可能性については、それなりに知っていた。 しかしながら、感染症で恐れられるべき存在は鳥インフルエンザ(H5N1)であった。そのために先進国は何十億ドルも拠出してワクチンや感染症拡大への予防策を講じていたのだ。それをパンデミックと称して警告したのは世界中の専門家たちである。 ここで2011年の東日大震災を比較するのはそれなりに意味があろう。 この驚異的な規模の地震が発生する前に、地震学者たちは東海沖地震に対する注意喚起を訴えていた。しかし、大地は肩透かしをらわして東日大震災を送り込んだ。次は、そして、今度こそは南海沖だと地震学者たちは警告している。 二つの

    災害は起きる、予想外の順番で - サイエンスとサピエンス
  • HALの反乱理由を信頼性理論から考察する - サイエンスとサピエンス

    SF映画史上の傑作の一つ『2001年宇宙の旅』での人工知能HAL9000の反乱については、いくつかの説がある。 例のモノリスに影響されて人類以上の存在になろうとしたとする誇大妄想狂仮説や青少年期にありがちな反抗期が嵩じてバット殺人のように父親殺しを演じたとするエディプス・コンプレックス説やただのソフトウェアのバグだという説まである。 今ここに提案するのは、そのバグ仮説である。 なにも新たに洗濯機を発明したいわけではない。信頼性理論からソフトウェア工学的に説明したところが新味なのだ。 ヒントはHALのこの警告にある。 「AE35ユニットが不調です。今から72時間以内に100%の確率で故障します」 ところが人間たちがAE35ユニットを点検しても不具合は見つからない。 HALはふてぶてしく言う。 「この手の問題は以前にも起きたことがあります。それはいつも人間のエラーでした」 グーグルカーの唯一の

    HALの反乱理由を信頼性理論から考察する - サイエンスとサピエンス
  • イグ・ノーベル賞の国別受賞者数 - サイエンスとサピエンス

    「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」のお国ぶりがわかるかもしれないと思い、1991年にスタートしたイグ・ノーベル賞の受賞者数が国別にどうなっているかを調べてみた。 1991年から2014年までの受賞者の出身国(一部推定)をカウントしてみた。法人や不特定多数の場合は一個人とみなしている。法人や政治家が受賞しているのは不名誉な受賞といっていいであろう(日の気象庁の受賞は誤りだったとされている。「ナマズによる地震予知の研究」を気象庁の業績と誤解したのだ。従って、そのケースはカウントしていない) その集計結果を受賞者数で降順に並べ替えて、左の列に順位をつけたのが下表である。 これを主観的に読み解いて、以下の様な「深遠なる」考察を得ることができたので、興味がある方は味読、興味のない方は未読してほしい。あるいは、これ自体が名誉あるイグ・ノーベル賞ネタかもしれないのだ。 ノーベル賞とかなり似た

    イグ・ノーベル賞の国別受賞者数 - サイエンスとサピエンス
  • 中谷宇吉郎と軍事研究 - サイエンスとサピエンス

    寺田一門(寺田寅彦の学風を嗣ぐ物理学者)のうち、一番師匠に近いのは中谷宇吉郎であろう。来なら、また、戦争がなければ先端であった原子物理などの研究で、一流の業績を残したのであろうが、時代がそうはさせなかった。 当時、開学したばかりの北大の理学部の創設に立ち会い、土地柄にふさわしい業績を残したのは幸いであった。 いわゆる科学動員計画が決まるのが1940年、中谷宇吉郎は「航空機着氷の研究」と「霧の研究」を1941年2月よりスタートさせている。 前者はニセコ山頂観測所の建設となる。当時の費用で22万円もの予算を投じた研究であった。 翼着氷研究、プロペラ着氷研究、遮風板防曇法などが課題である。 なんといっても実物大の零戦のプロペラを持ち込んで実験したのだから、馬鹿にしたものではない。発電機と100馬力モータも山頂まで運び込んだ。ニセコ山頂は300メートル級なのだ、すべての機材を人力で運びあげたとい

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  • 情報は物理的な実在なの? - サイエンスとサピエンス

    ビットコインが社会問題になっている。しかし、多くの人びとの銀行貯金の金額は、ほぼコンピュータ上のビットの列でしかないのは隠された真実だろう。貨幣はもはや信用を伴う情報の一種でしかない。 量子力学の情報科学的な研究は最先端研究の一翼を担っている。すべては情報に還元できるという見方も有力になりつつある。ある説によれば、この宇宙の全情報量は10^70ビットなのだそうだ。 だが、そもそも、「情報」とは物理量なのだろうか? ビットの単位で計測できるのだからそれは物理量であり、物理量は実在するという立場もあろう。だが、エントロピーは計測できるが、実在するだろうか。フォノンはどうだろう? 超電導をもたらすクーパー対はどうなのだろうか? ビットも自然や人工物の記述モデルの用語の一つといえるのではないかと思う。 モデルと物理的実在とは、かなり異なるようなのだ。ビットも仮想的な記号、それもエントロピーと双対性

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