『言語のレシピ』を読んでいて,本筋ではないのだが,エスキモー(イヌイット)は雪を表す単語を大量に持っているという話は”神話”であるというくだりにぶつかって軽い衝撃を受けた。 実際には,エスキモー族が雪をあらわすのに用いる単語は,普通のスキーヤーよりも少ない。 (ベイカー『言語のレシピ』岩波現代文庫 p. 172) 30以上の単語があるというのは,ウォーフがボアズの指摘を誤った形で紹介したことによって広まった話らしい。 この”神話”が生まれる過程を詳しく調べたマーティンによれば,ウォーフはエスキモーの語彙には雪を表すのに5つの単語があることを示唆するような書き方をしているとのこと(ボアズが具体的に挙げているのは4語だが,うち1つは他の語の変化形と考えるのがよいらしく,3語とすることが多いようだ)。 実際,ウォーフの「科学と言語学」をみてみると(翻訳だけど),以下のように述べられている。 われ
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