Vol.1 乾久美子インタビュー (1) 風景を肯定すること OPENERSでは、2008年に5人の日本の建築家を紹介する「いま世界が注目するニッポンの若手建築家特集」を組んだ。それはインターネットやパーソナルコンピューターが、誰にとっても当たり前なものになり、情報化が高度に進んだゼロ年代の東京という街における現状を、街のかたちをつくる「建築家」という職能をもった彼らの言葉を借りて具現化する試みであった。それはまた、東京という街を、非現実的なバーチャルに根ざしたものではなく、人間の営みのなかからにじみ出るリアリティあるものによって記述する試みでもあった。 テン年代(2010年代)に入って、経済、政治はますます混迷の度合いを深め、人びとの嗜好やファッションの流行は多様化し、世の中は先のみえにくい時代に突入しているように思える。だからこそいまは、前向きに考えれば、つぎの時代に向けたあらたな好ま