社員が職務上行った発明は,通常「社内規則」などに従って企業が特許権を譲り受けるのが普通だ。ただし,社員にはその発明にかかわる「相当の対価」を受け取る権利がある。あなたが,なんらかの職務上の発明を行ったときに備えて,職務発明に関する正しい法律知識を身に付けておこう。 オリンパス光学工業(現・オリンパス)の研究開発部員だった田中俊平氏は,在職中の1977年にビデオディスク・プレーヤーの光ピックアップ装置に関する発明を行った。オリンパスは,同社の「発明考案取扱規程」に従って,この発明に関する「特許を受ける権利」を譲り受け,78年に特許を出願。89年に特許を取得した。同社は,この技術をソニーや三洋電機などにライセンス提供していた。 同社は田中氏に対して,特許出願時に3000円,特許登録時に8000円を支払い,92年には「実績報償」として20万円を支払った。実績報償は,最初の2年間のライセンス収入を