9・11事件の10周年の今日です。当日の記憶を拙著『異国征伐戦記の世界』「あとがき」に綴っておきましたので、その一部を引いてくることで、あの事件に関わるすべての方々を追悼いたしたく存じます。 二〇〇一年九月一一日。 あの日の夜。ソウルのとある地下鉄駅のホームで帰宅の電車を待っていた私に、友達からの電話があった。「お前、軍隊に戻されるかもしれないよ」「何のことだよ」「テレビ、見てないのか。アメリカでテロが起きたよ。お前、まだ予備軍だろう。召集されるかもしれないぜ」。当時は、スマートフォンなどまだ普及しておらず、ニュースが見られたのは、それから一時間後だった。テレビの速報映像には、世界貿易センタービルが次々と崩れていく様子が流れていた。あたかもハリウッド映画のように。その後、アメリカは、テロへの復讐という名目でアフガニスタンを侵攻し、大量破壊兵器を隠したとしてイラクを侵攻した。あの日の友人の話