ドナルド・デイヴィドソン『主観的、間主観的、客観的』を読了。 デイヴィドソンを知らない人にとって、「主観的、間主観的、客観的」なんてタイトルを聞くと、いかにも固くてつまんなそうな本に思えるでしょうが、これがなかなかスリリングでラディカルな本です。 この本はデイヴィドソンの第3論文集で、第2論文集の『真理と解釈』の問題意識をさらに発展させたものになっています。中心となるテーマはは「自分の心に関する知識」、「他人の心に関する知識」、「共有された世界に関する知識」の3つの知識の内容とその相互関係です。 古来、哲学者は「自分の心に関する知識」を確実なものと考えそこから2つの知識を導きだすか,逆に「共有された世界に関する知識」こそを正しいものとしてそこから2つの知識を導きだすかで議論を重ねてきましたが、デイヴィドソンによればどちらか優位と言うというものではなく、これらは密接に絡み合っているものです。