電子書籍の本質的な問題点は、デバイス(読取装置)への依存性の高さである。紙の本は、何もデバイスがなくても直接読むことができるが、電子書籍は、デバイスがなければ読むことができない。かつてワープロ専用機で使っていたフロッピーディスクのデータの大半を、今日読むことができなくなっているように、今日読むことができる電子書籍も、何十年かすれば、読むことができなくなる可能性が高い。紙の本と比べた電子書籍のデメリットの多くは、技術革新によって克服できるが、デバイスへの依存性が高いがゆえに読むことができなくなるリスクが高いという欠点は、むしろデバイスの技術革新が進めば進むほど、顕在化する。 もちろん、デバイスの進化に合わせてコンテンツを新しいフォーマットにコンバートすればよいわけだが、これにはコストと手間がかかる。こうした作業は、読者や作家などの素人が個別的にやるよりも、専門的な企業が、自動化したプログラム