「マクドナルドがある国同士は戦争しない」。米コラムニストのトーマス・フリードマン氏がそんな理論を提唱したのは1996年のことである。82年のフォークランド紛争を例外と考えていたが、アルゼンチン初進出は86年と知って意を強くしたそうだ▲冷戦が終わり、民主主義と自由経済が勝利したという楽観論が広がっていた。フリードマン氏は内戦は対象外という条件付きで「マクドナルドを支えるのに十分な中間層が育てば、その国は戦争をしたがらない」と推論した▲ソ連初の店舗がモスクワに誕生したのが90年1月。同年10月には中国広東省深圳に中国第1号店がオープンした。どちらも店を取り囲む長い行列ができ、イデオロギーより生活スタイルが重視される時代を印象づけた。そんな動きも理論の背景にあったのだろう▲今では有効性に疑問符がつく。2008年の南オセチア紛争でロシアが戦ったジョージアには99年に進出していた。やはり店舗が展開す