心不全が今、「パンデミック」と表現されるほど、日本で患者が激増している。 がんに次いで死因二位の心不全は、発症すると入退院を繰り返して、徐々に悪化していく完治が難しい病気だ。患者数は推計120万人とされているが、専門医不足で適切な治療を受けることができない課題が浮き彫りになりつつある。 この難問にAIとデザイン思考で挑戦するのが、Cubec(キューベック)。京都芸術大学大学院でデザイン思考を研究したCEO 奥井伸輔と、ブレインパッドなどでAI事業を成功に導いてきたCAIO 新井田信彦の二人がタッグを組むスタートアップだ。 なぜ、理系だった奥井が美術系大学院に入り直してから起業したのか。AIを活用したプログラム医療機器の普及に、デザイン思考はどう貢献するのか。ヘルステック業界のフロントランナーを目指す、奥井と新井田に聞いた。 MR時代のエゴからの解放 奥井は名古屋大学理学部卒業後、外資系製薬