本書ではオバマ大統領の新しいコミュニケーションの作法を「共感の戦略コミュニケーション」と定め、それについて彼らなりの分析を加えているものだ(視点はPR)。 本書によると、今までのアメリカ大統領選におけるコミュニケーションの型は、アリストテレスの「弁論術」に由来する「説得型」であり、それは「自分を立て、相手を負かす」ディベート型のコミュニケーションであるとしている。 事実対立するマケイン候補は「政治家としての知名度や経験豊富さ」など、いかに自分がオバマ氏より優れているかをアピールし、自身を立て、オバマ氏を負かそうとした。マケインは対立する候補を「敵」と定めて、支持を得ようとして失敗をした。 一方オバマ氏の演説はと言うと、マケインやブッシュ候補を全く攻撃しなかった。彼が「敵」として定めたのは、水平的にみたその他の候補ではなく、垂直的に見た「対立と分裂を繰り返す、建国の理念からは程遠いアメリカの