2003年4月、イラクの首都バグダッドで、地図を広げ詳細な位置をイラクの警官に尋ねる米兵(佐藤貴生撮影)イラク戦争は3月20日で開戦から20年となった。米軍は侵攻の約3週間後に首都バグダッドを制圧し、直後に訪れた街は喜びにあふれていた。だが、歓喜が流血の抗争にとって代わるのにそう時間はかからなかった。治安は悪化の一途をたどり、イラクは今も混乱から抜け出せずにいる。現地で取材した時々の局面を交え、「イラクの20年」を振り返った。 敵意隠さず米軍がバグダッドを制圧してフセイン独裁政権が崩壊したのは2003年4月9日のことだった。筆者はその後まもなく、先輩記者2人とヨルダンから陸路でイラクに入った。首都は落ち着いていて自由に移動できたが、対立の萌芽(ほうが)も感じ取れた。