「ピピッピーピー」。地上から2000㌔メートル(以下、㎞)離れた場所から届く不思議な音。その正体は衛星から送られるビーコン電波、モールス信号だ。 いま、上空560㎞を飛行しているのは、重さ2.6㌔グラム、10㌢メートル(以下、㎝)四方の立方体を2つ重ねたサイズの超小型衛星「KOSEN-1」。2021年11月9日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)からイプシロンロケット5号機により打ち上げられた。開発チームの最年少技術者は弱冠15歳、現役の高専生だ。全国の工業高等専門学校10校から50人を超える高専生が参加し、衛星の設計から、通信系、電源系、各種装置の製作などを分担。3年近い年月をかけて共同開発された。 活動の母体は、全国の高専の宇宙航空分野の教員を中心とした教育研究プロジェクトグループ「高専スペース連携」だ。発起人は、KOSEN-1衛星のプロジェクトマネージ