はじめに 冷戦の終結以後、国際政治の舞台では国際文化交流、「文化外交」や「ソフトパワー」をめぐる論議が盛んになった。その背景には、自由主義/資本主義対共産主義/社会主義という東西両陣営のイデオロギー対立が終わり、グローバリズムの加速によって国家の相互依存が深化していく情況があった。こうした流れの中で、科学技術の飛躍的進化に伴う軍事・経済といったハードパワーの直接的使用による代償とリスクが拡大し、武力行使及びその対抗措置としての制裁のハードルが高くなった。国際政治においては、ソフトパワーの絶対的な効用が語られ、パブリック・ディプロマシーという専門用語が頻繁に聞かれるようになったのは、1990年代以降だった。 ところが、2014年のクリミア併合以後、昨年12月にソ連邦解体満三十年が経過して新たな一年を踏み出した今年2月24日、露大統領ウラジーミル・プーチンの統治するロシアが、大方の専門家の予想
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