「トマホークは切り札にはならない」「『何をいまさら』というのが正直な気持ち」――防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄氏、芥川賞作家で元自衛官の砂川文次氏による対談 「徹底討論 防衛費論争の急所」 を一部転載します。(「文藝春秋」2023年2月号、司会・新谷学編集長) 【写真】この記事の写真を見る(3枚) ◆◆◆ 新谷 日本の安全保障政策は、歴史的な転換点に立たされています。政府は2022年12月16日、新たな防衛3文書を閣議決定。23年度から5年間の防衛費の総額を、43兆円程度とすることが決定されました。高橋さんはこの流れをどうご覧になっていますか? 高橋 まず大前提として、日本が置かれている状況をご説明する必要があるでしょう。日本の防衛費はこの20年間、ほとんど5兆円から5兆5000億円の間を推移し、横ばい状態が続いてきました。金額が変わらない一方、その重みには変化が生じています。東アジ