菅直人元首相は11日、米ニューヨークで開かれた東京電力福島第1原発事故関連のシンポジウムにビデオメッセージを寄せ「最悪の事態と紙一重だった。神のご加護があった」と振り返った。事故の初期対応を指揮した菅氏は「原発ゼロを実現することこそ最も安全な原子力政策、エネルギー政策だ」と訴えた。 菅氏は、より多くの原子炉や使用済み燃料プールが制御不能となり、首都圏を含む5千万人規模の避難が必要になる「最悪のシナリオ」があったと指摘。現実になっていれば「避難過程でも多くの犠牲者が出ただろうし、その後、日本は国としての機能を長期間にわたり十分果たせなかった」との見方を示した。 その上で「核兵器と原発はいずれも人間と共存することが極めて難しい技術」と強調。風力、太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギーを拡大し「最終的には原発を使わない、化石燃料も必要としない」社会の実現を目指すべきだとの考えを重ねて示した