どの国にも狂人はいるものだ。だから田母神俊雄という前航空幕僚長が、日本の侵略戦争や植民地支配を「ぬれぎぬだ」と強弁した主張自体に、さしたる意味を見いだそうとは思わない。 しかし、今回の件は時間がたてばたつほど、日本の歴史に暗うつたる1ページとして残る可能性が高まっている。それは、この問題の後始末において、逃げ腰で優柔不断な姿勢や、統帥権の制度的な欠陥をあらわにした日本政府のせいだ。 田母神氏は日本の国家理念を否定した。「植民地支配や侵略的行為に思いをいたし、(中略)深い反省の念を表明」(1995年に衆院本会議で可決された不戦決議)し、「恒久の平和を念願」(日本国憲法前文)するという宣言が、日本の真意だと前提すれば、だ。同氏の主張は、例えるなら韓国空軍の参謀総長が「6・25(朝鮮戦争)は韓国の先制攻撃であり、北朝鮮の反撃は民族解放戦争」と主張したのと同じだ。 韓国なら軍法会議にかけられ