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ブックマーク / www.aozora.gr.jp (5)

  • 芥川龍之介 谷崎潤一郎氏

    僕は或初夏の午後、谷崎氏と神田をひやかしに出かけた。谷崎氏はその日も黒背広に赤い襟飾りを結んでゐた。僕はこの壮大なる襟飾りに、象徴せられたるロマンティシズムを感じた。尤もこれは僕ばかりではない。往来の人も男女を問はず、僕と同じ印象を受けたのであらう。すれ違ふ度に谷崎氏の顔をじろじろ見ないものは一人もなかつた。しかし谷崎氏は何と云つてもさう云ふ事実を認めなかつた。 「ありや君を見るんだよ。そんな道行きなんぞ着てゐるから。」 僕は成程夏外套の代りに親父の道行きを借用してゐた。が、道行きは茶の湯の師匠も菩提寺の和尚も着るものである。衆俗の目を駭かすことは到底一輪の紅薔薇に似た、非凡なる襟飾りに及ぶ筈はない。けれども谷崎氏は僕のやうにロヂックを尊敬しない詩人だから、僕も亦強ひてこの真理を呑みこませようとも思はなかつた。 その内に僕等は裏神保町の或カッフエへ腰を下した。何でも喉の渇いたため、炭酸水か

  • 2017年01月01日「土地とともにあるパブリック・ドメイン」- そらもよう

    今年も青空文庫の誕生日である7月7日がやってきました。 今日までその活動を27年間地道に続けて来られたのは、実作業で支えてくださった多くのボランティアのみなさんと、収録された作品をさまざまに楽しみ、その可能性を広げてきてくださったユーザのみなさんのおかげです。 あらためて御礼申し上げます。ありがとうございます。 さて、2023年1月1日から継続して進めて参りました「式年遷宮」ですが、ようやく新規データベースサーバの引っ越しの目処がつきました。 元旦でお知らせしていた日7月7日からの運用には間に合いませんでしたが、この8月から実データを構築中の新データベースに移し、そして運用を試験して大きな問題がなければ、この秋には引っ越しを完遂したいと考えています。 (もちろん試用しながら都度バグフィックスを行う必要が生じますので、夏のあいだにタイミングを慎重に見極めなければなりません) ともあれ、お

  • 著作権保護期間の延長を行わないよう求める請願署名

    著作権保護期間の延長はやめておこう。 文化共有の青空を育てよう。 著作権保護期間の延長を 行わないよう求める請願署名 延長問題を審議してきた委員会が、「中間整理」をまとめました。 これをどう評価するか、広く意見が求められています。 署名に続いて、 「延長は望まない」の声を、もう一度響かせる、チャンスです! 2007年1月1日  最終更新:2008年10月13日 English page 文化庁の「文化審議会著作権分科会」に設けられた「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」が、検討結果の「中間整理」をまとめました。 「延ばす」「延ばさない」、双方の主張を併記したまとめに対し、広く皆さんの声を聞く、意見募集が行われることになりました。 延長には「十分な合意が得られた状況ではない」としながらも、まとめは、今後も、「検討を続けることが適当」としています。 見送りか、検討の継続か――。 「今後

  • 泉鏡花 外科室

    実は好奇心のゆえに、しかれども予は予が画師(えし)たるを利器として、ともかくも口実を設けつつ、予と兄弟もただならざる医学士高峰をしいて、某(それ)の日東京府下の一(ある)病院において、渠(かれ)が刀(とう)を下すべき、貴船(きふね)伯爵夫人の手術をば予をして見せしむることを余儀なくしたり。 その日午前九時過ぐるころ家を出(い)でて病院に腕車(わんしゃ)を飛ばしつ。直ちに外科室の方(かた)に赴(おもむ)くとき、むこうより戸を排してすらすらと出で来たれる華族の小間使とも見ゆる容目(みめ)よき婦人(おんな)二、三人と、廊下の半ばに行き違えり。 見れば渠らの間には、被布着たる一個(いっこ)七、八歳の娘を擁しつ、見送るほどに見えずなれり。これのみならず玄関より外科室、外科室より二階なる病室に通うあいだの長き廊下には、フロックコート着たる紳士、制服着けたる武官、あるいは羽織袴(はかま)の扮装(いでたち

  • 青空文庫 Aozora Bunko

    インターネットの電子図書館青空文庫へようこそ。 「青空文庫、新館引越中」 初めての方はまず「青空文庫早わかり」をご覧ください。 ファイル利用をお考えの方は、こちらをご一読ください。 「青空文庫収録ファイルを用いた朗読配信をお考えのみなさまへ」 メインエリア

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