かつて、日本国と言う国があった。 理想的な国だった。 それはまず、その国名に現れている。 日の本の国。すなわち、太陽の下にある国。 あなんの難しい理想も、妄想もそこにはない、ただ、お日様が照る国、それだけの単純な名だ。 わざわざそんなことを言うのには、理由がある。フランス革命に始まり、多くの専横と戦ってきた人類は、自由平等博愛を愛し、様々な形で、国号にその理想を込めてきた。 曰く、人民、民主主義、自由、共和、社会主義……と。 国号に独裁国と謳う国は無かった。 ただ名前に無いだけであり実態とは異なったが。 実際、国号にこれらの理想を冠する数か多いほど実態から離れると言う説があった。歴史は証明しただろうか?読者の判断に委ねたい。 日本国には異称があった。 豊葦原の瑞穂の国 葦が一杯繁って、瑞々しい稲穂の実る国。 田んぼの国と言うわけだ。 なんとものどかな、しかし、豊かな異称であったことよ。少な