JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ・片恋のシャーラ(プロトタイプ版)の第31弾です(詳しい説明は第1弾に書いてあります)。 他のページはコチラ→「片恋のシャーラ(プロトタイプ版)1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/32(終)」 (下部にある「カテゴリー別・小説一覧」からも他ページに跳べます。※他の小説も混じった「もくじ」になっています。) それまでずっと隠されてきた、彼の素顔の一部分が露となる。 その顔は、美と芸術の国カトラーナの王子にふさわしく、凛々しく整っていた。 「……何年ぶりかしら。お兄様のお顔を、ちゃんと見るのは。どうして隠してしまったの?」 ウォルスは、その問いにも答えなかった。またしても、別の話を口にする。 「ずっと、真実を隠して生きていこうと思
JUGEMテーマ:ものがたり ・片恋のシャーラ(プロトタイプ版)の第23弾です(詳しい説明は第1弾に書いてあります)。 他のページはコチラ→「片恋のシャーラ(プロトタイプ版)1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/24/25/26/27/28/29/30/31/32(終)」 (下部にある「カテゴリー別・小説一覧」からも他ページに跳べます。※他の小説も混じった「もくじ」になっています。) いつもの塔の屋上で、シャーラは膝を抱え声を立てずに泣いた。 今は、大声をあげて泣き喚く気分ではなかった。 泣きながら、シャーラは心のどこかで期待していた。 ウォルスは、シャーラがここで泣いていると、いつも来てくれたから。 いつものように彼が来て、不器用な言葉で慰めてくれるのを……。さっきの言葉は嘘だと撤回してくれるのを待っていた。 だ
JUGEMテーマ:ファンタジー ・片恋のシャーラ(プロトタイプ版)の第22弾です(詳しい説明は第1弾に書いてあります)。 他のページはコチラ→「片恋のシャーラ(プロトタイプ版)1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/23/24/25/26/27/28/29/30/31/32(終)」 (下部にある「カテゴリー別・小説一覧」からも他ページに跳べます。※他の小説も混じった「もくじ」になっています。) 「……どうして?」 シャーラは信じられないものを見るように、目の前の顔を見つめた。 その顔は相変わらず、長い前髪に隠れて表情を窺(うかが)うことができない。 「気でも触れたのか、シャーラ。私とお前は兄妹なのだぞ」 「本当は違うのでしょう?私はランカスタ公爵家次女と、ルウェリン公爵家の元御曹司の間に生まれた子。お父様とお母様の本当の子
作品番号 1666984 最終更新 2022/06/05 総文字数 120,428 ページ数 147ページ ステータス 完結 PV数 19,255 いいね数 0 数えきれない愛の代償は、たったひとつの本命の恋……。 <主な登場人物:登場順> 設定には「表向きのもの(後に小説内で真実が暴かれるもの)」もあります。 ✨マリア・シャルリーネ・エーデルシュテルン(シャーリィ)✨ リヒトシュライフェ王国の王女にして、光の宝玉を守る聖女。プラチナブロンドのストレートロングに、ブルーグリーンの瞳。 ✨ウィレスターク・エーデルシュテルン(ウィレス)✨ リヒトシュライフェ王国の王太子にしてシャーリィの兄。堅物で真面目だが、シャーリィに対する愛情は深い。金色の瞳を灰茶色の長い前髪で隠している。 ✨フローリアン・クローゼ✨ シャーリィの親衛隊の騎士。父親は地方の領主。シャーリィに告白済み。 ✨アーベント・クライ
数えきれない愛の代償は、たったひとつの本命の恋……。 <主な登場人物:登場順> 設定には「表向きのもの(後に小説内で真実が暴かれるもの)」もあります。 ✨マリア・シャルリーネ・エーデルシュテルン(シャーリィ)✨ リヒトシュライフェ王国の王女にして、光の宝玉を守る聖女。プラチナブロンドのストレートロングに、ブルーグリーンの瞳。 ✨ウィレスターク・エーデルシュテルン(ウィレス)✨ リヒトシュライフェ王国の王太子にしてシャーリィの兄。堅物で真面目だが、シャーリィに対する愛情は深い。金色の瞳を灰茶色の長い前髪で隠している。 ✨フローリアン・クローゼ✨ シャーリィの親衛隊の騎士。父親は地方の領主。シャーリィに告白済み。 ✨アーベント・クライト✨ シャーリィの親衛隊の新人騎士。クライト侯爵の次男。母親は七公爵家の出身。夕日のような赤毛に、ヘーゼルブラウンの瞳。剣の腕前に自信がある。シャーリィの魅了の力
JUGEMテーマ:ファンタジー連載 ・片恋のシャーラ(プロトタイプ版)の第32弾(最終回)です(詳しい説明は第1弾に書いてあります)。 他のページはコチラ→「片恋のシャーラ(プロトタイプ版)1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/31/」 (下部にある「カテゴリー別・小説一覧」からも他ページに跳べます。※他の小説も混じった「もくじ」になっています。) 「……そんなことのために、今まで、ずっと……?カトラーナの王子にふさわしくないと、陰で嘲る人もいたのに……」 「私の評判など、些細(ささい)なことだ。 兄 ( ・ ) が 妹 ( ・ ) に 懸想 ( けそう ) していると思われるよりは、よほど良い。それに、私ひとりの醜聞で済むなら、まだ良いのが……下手をすれば、お前の
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版は、補足情報が無い代わりにルビ多めです。) 数ヶ月ぶりに帰省したら、地元の駅に自動改札ができていた。 古くさいばかりの田舎の駅が、急に近代化したようで、違和感ばかりを強く覚えた。 駅前にあったコンビニは、いつの間にか潰れていた。 駅前なのに潰れるなんて、さすがは田舎だな、と変な納得の仕方をしながら、迎えの車に乗り込んだ。 時間が止まったかのような、変化の乏しい地方の町でも、数ヶ月離れているだけで、いろいろとあるものだ。 大学に進学するため地元を離れて、もう二年が経とうとしている。 長期休暇も、バイトだサークルの合宿だで何かと忙しく、実家には数えるほどしか帰っていない。 たまの帰郷は片道時間からして長くて、ちょっとした旅行気分だ。 大学に入ってすぐの頃は、周
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版は、補足情報が無い代わりにルビ多めです。) 東京に来れば、何かが変わると思っていた。 マンガやドラマの中にあるような、キラキラした青春と出逢えるんじゃないかって……そんな淡い希望を持っていた。 だけど、思い知った。 あのキラキラした青春は、誰もが手に入れられるものじゃない。 少なくとも、私が手に入れられるものではなかった。 青春するには、お金がかかる。ある程度の自由な時間が要る。 そして私のお金と時間は、気づけばいつもなくなっている。 ……一人暮らしが、こんなに大変で、忙しくて、ギリギリなものだなんて、あの頃は全然、思ってなかった。 東京に来て、まず困ったのが、服を買う場所だった。 地元から持ってきた服は、何だかキャンパスの中で浮いている気がして、入学して
他人(ひと)の話や、物語の中では、嫌というほど触(ふ)れてきたはずなのに……未だに私は、死というもののことを、ちゃんと理解できていない。 そのことを、思い知らされた。 あんなに優しくしてくれた先輩が、いなくなってしまったというのに……私の目からは、涙のひとつも出て来ない。 だって、どういうことなのか、理解できないんだ。 もう会えないとか、声が聴けないとか、笑いかけてもらえないとか。 理解しているつもりで、だけど心の奥の方が、まだ理解に追いついていない。 だって、まるで嘘(うそ)みたいなんだ。 こんなに何の前触(まえぶ)れも無く、当たり前の日常の中で、いきなり別れが襲(おそ)って来るなんて……。 現実味(げんじつみ)も何も無いまま臨(のぞ)んだお葬式は、覚(おぼ)えてきた作法(さほう)を失敗しないようやり遂(と)げるのに必死で、哀しみを味わうどころではなかった。 窮屈(きゅうくつ)そうな棺(
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) きっと、これは、ありふれた別れなんだろう。 同級生の中にも、既に祖父母を亡くしている奴は結構いる。 人間、年を取れば、いつかはそういうことになるんだから、当たり前のことなんだ……そう、自分に言い聞かせようとする。 覚悟を決める時間なんて、たくさんあったはずだった。 おばあちゃんは、いわゆる余命宣告というやつを受けていて、残された時間が一日一日と減っていくのを、カレンダーを見るたび、思い知らされていた。 その一日一日を数えるたび、身の竦むような思いでいた。 病院のベッドに寝たきりになったおばあちゃんは、会いに行くたびに、どんどん小さく、細くなっていって、時々ハッとするほど存在感を失(な)くしていた。 確かにそこに横たわっているはずなのに、一瞬ベッドと布団しかないよ
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) あの子は、自分の正しさを疑わない。 いつでも、正しいのは自分で、間違っているのは周りにいる誰かや何か――それがあの子の、この世界に対する認識だ。 いい加減つき合いも長いから、私もそれは知っていた。 知っていて……そんなあの子を密かに呆れた目で見ながらも、その歪んだ物の見方を、正すでもなく拒否するでもなく、ただ流して(・・・)きた。 言ったところで直るような性格でもないし、それで害が生じているわけでもない。 だったら、わざわざ友情の壊れるリスクを負ってまで指摘する必要はない――そう思っていた。 あの子は、相手を気遣ったり、相手に合わせたりすることがない。 ありのまま、素の自分を晒すことが友情の“あるべき姿”とでも言うように、いつでも自分の我を通す。 そして、周りが
JUGEMテーマ:恋愛小説 祭りの後って、何でこんなに寂しいんだろうな。 普段より気持ちが盛り上がってテンションが昂ぶりきった後だから、余計に反動が大きいんだろうか。 それともこれが確実に、ひとつの何かの“終わり”だからだろうか。 学園祭終わりの教室の中、 後夜祭 ( フィナーレ ) にも行かずに君と二人きり、だらだらと時を過ごす。 派手に飾りつけた壁も机も、今はただ夕日のオレンジに染まって、何だか物寂しい。 祭りは今日まで。いつもと違う“非日常”は今日まで。 明日からはまた普通の学校生活が始める。 そして僕らはまた、崖っぷちの受験生活に戻る。 今日は特別な息抜きの一日だったから、勉強も進路も先のことも、何もかも忘れて君との時間に浸っていた。 こんなに長く一緒にいるのも、こんなにたくさん話すのも、久しぶりな気がする。 「学園祭、楽しかったね」 ぽつりと言う君の横顔も、心なしか寂しげに見える
※このページは津籠 睦月によるオリジナル和風ファンタジー・ネット小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」のもくじページです。 時代は古代(古墳時代~奈良時代)、モチーフは日本神話(各国風土記・古事記・神道etc…)、 構成要素はアクション・バトル・シリアス・恋愛(切ない系)・大河・サプライズです。 少しでも興味を持っていただけたなら、上の目次の文字の色が違う部分をクリックして本文ページへ進んでみてください。 バージョン切替機能 この小説には、「普通描写版」と「倭風描写版」の2つのバージョンがあります。 本文ページメニューバー(小説タイトルロゴの下のピンク色の帯)の右下に切替ボタンがありますので、お好きな方を選択してお読みください。 用語解説フレーム 本文の中にある色の違う単語をクリックすると、本文ページ左側の用語解説フレーム内に説明が表示されます。 <もくじを表示する>をクリックしてもくじを表示させ
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) 世の人々の多くは、なぜか“一握りの天才”というものに、憧れや嫉妬を覚えるものらしい。 だけど、よく考えてみて欲しい。 全体から見て、ほんの数パーセントしか存在しない天才(ギフテッド)――それはすなわち“とてつもない少数派(マイノリティ)”ということに他ならないのだ。 大概のことが多数決の原理で動いていく現代社会において、それは圧倒的に不利な立場でしかない。 それなのに、なぜ人は、そんなモノに憧れたり妬いたりするのだろう……。 他人と違うというだけで、この世は何かと生きづらい。 口では個性を認めながら、実際には出る杭は打たれるのが世の習いだ。 考えてみれば当たり前の話なのだ。 大多数の人間は、「他人が自分より優れていること」を素直に喜んだりしない。 何をしたわ
外は雨だった。けぶるように降る春雨(はるさめ)は、山々を白く霞(かす)ませ、森の色を一層深く濃く見せていた。 「せっかくの月待(つきまち)の日に、あいにくのお天気ですねぇ」 茶店の主人(あるじ)が苦笑混じりに話しかけてくる。 「月待?……あぁ、今流行(はや)りのアレか」 俺は適当に答え、茶をすする。月待とは月待講(つきまちこう)のことで、いつの頃からか流行りだした月神信仰の一種だ。夜半(やはん)に出る二十三夜の月を待ち、月神に供(そな)え物をして夜通しの宴を行えば、願い事が叶うという。 「おや、お客さんは願い事をなさらないんですか?」 「あいにく、神に叶えられるような願い事など、持っておらぬからな。この辺りではそんなに月待がさかんなのか?」 「へぇ、そりゃもうさかんですねぇ。特に、こんな風に龍神様の涙雨(なみだあめ)の降る頃には。龍神様のご加護もあって願いが叶いやすいとか何とかで」 「龍神
マンガや小説やドラマの中なら、主人公が困難に陥(おちい)った時には、必ず“救いの手”が差し伸(の)べられる。 助けてくれる人だったり、苦境(くきょう)を突破するきっかけだったり……。 そういうものなのだと、幼い頃(ころ)は思っていた。 だけど、私が死にたいくらいに辛(つら)かったあの時、救いの手なんかどこにも無かった。 誰も助けてくれなかったし、解決の糸口さえ見当たらなかった。 ただ、耐(た)えて、耐えて、耐え続けて……時間が状況を変えてくれるのを待つことしかできなかった。 救いの手なんて結局、物語を上手く転がすための都合の良い道具に過ぎないんだ。実際には存在しないものなんだ――そう、自分に言い聞かせて、これまでにも数えきれないほど呑(の)み込んできた“悲しい現実”を、またひとつ無理矢理、喉(のど)の奥に押し込んだ。 時間の流れは、時にじれったく思うほど、じりじりと遅く感じられたけど、それ
JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) マンガや小説やドラマの中なら、主人公が困難に陥った時には、必ず“救いの手”が差し伸べられる。 助けてくれる人だったり、苦境を突破するきっかけだったり……。 そういうものなのだと、幼い頃は思っていた。 だけど、私が死にたいくらいに辛かったあの時、救いの手なんかどこにも無かった。 誰も助けてくれなかったし、解決の糸口さえ見当たらなかった。 ただ、耐えて、耐えて、耐え続けて……時間が状況を変えてくれるのを待つことしかできなかった。 救いの手なんて結局、物語を上手く転がすための都合の良い道具に過ぎないんだ。実際には存在しないものなんだ――そう、自分に言い聞かせて、これまでにも数えきれないほど呑み込んできた“悲しい現実”を、またひとつ無理矢理、 喉 ( のど ) の奥に押
結局、青春なんて、どこにあったんだろう。 三年間、これでも必死に努力してきたつもりだったのに、記録を出すどころか、地区大会の代表にも選ばれなかった。 学園ドラマやスポーツ漫画にあるような熱くてキラキラした青春は、俺の隣(となり)にいた、俺よりずっと才能も実力もあるチームメイトのもので、俺はまるで背景の名も無き観衆のように、そいつらの活躍を応援するだけだった。 一体、何のために毎日汗だくになりながら、辛(つら)い練習をこなしてきたんだろう。 いつかは見つけられるかも知れないと思っていた、競技に打ち込む意味も意義も、結局うすらぼんやりして見えないまま、今日でその辛い練習も終わる。 今まで何度も「苦しい」「辞めたい」と思ってきたはずなのに、いざ「今日で最後」となると湧(わ)き上がってくる、この感情は何だろう。 悔しさだとか未練だとか、そんなありきたりな言葉じゃ説明がつかない。 両手にすくった銀の
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