シンガポールでのアジア安全保障会議で米中が激しく対立した。ジェームズ・マティス米国防長官は自由と開放性を特徴とする米国のインド太平洋戦略に、中国が真っ向から挑戦しているとして、南シナ海の軍事利用を非難した。 中国はフィリピンなどから奪った人工島に対艦ミサイル、対地・対空ミサイル、電波妨害設備などを配備し、パラセル諸島のウッディー島には「轟6K」など複数の爆撃機を離着陸させた。南シナ海初の最新鋭爆撃機の演習は、恫喝(どうかつ)と強制に他ならないなどとしてマティス氏は環太平洋合同演習(リムパック)への中国人民解放軍の招待を取り消した理由とした。 米国における対中観は厳しさを増している。昨年12月の「米国家安全保障戦略」、今年1月の「国家防衛戦略」、2月の「核態勢見直し」と続いた米政府の国防報告に一貫するのは、中国の脅威の強調だ。同時期に発表された米通商代表部(USTR)の年次報告書も同様で、米