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ブックマーク / geopoli.exblog.jp (28)

  • 地政学を英国で学んだ : 多文化主義はどのように失敗したのか

    ↑新刊:胎動する地政学↑ イギリスでの留学生活を実況生中継。久しぶりに意見記事の要約です。 ==== 多文化主義はどのように失敗したのか by ケナン・マリク ●今年の7月7日でロンドンでの52人が死んだ連続テロ事件から六年がすぎた。 ●アメリカの9・11事件とロンドンでの7・7事件は基的に同じインパクトを両国の国民に与えたが、ひとつだけ違うのは、7・7事件のほうがイギリスの市民権を持つ人間たちによる犯行だったということだ。 ●イギリス当局側は、この「自国民の犯行」に頭を悩ませており、以前は過激なイスラム僧侶やモスクの影響を指摘していたが、最近は政府の多文化主義政策の失敗を指摘する分析が多くなっている。 ●ヨーロッパでは多文化主義の問題に関して政府要人からも批判的な声が上がり始めており、スウェーデンやオランダでも反移民政策を訴える政党が議席を伸ばしている。 ●英首相のキャ

  • ブレvsミア:まとめ | 地政学を英国で学んだ

    アメリカが立ちはだかっている――ブレジンスキーの反論 中国はどうすればアメリカを東アジアから追い出すことができるのだろうか?より的確に言えば、中国はどうすればアメリカを日から追い出すことができるのだろうか?そしてアメリカが日から追い出されたり、自ら出て行くようなことになれば、日はどうするのだろうか?日はかなりの軍事力を持っているし、その気になれば数ヶ月以内に核による抑止力を持つことができるだろう。率直に言えば、私は中国アメリカをアジアから追い出すことはできないと考えている。また、いくら中国アメリカをアジアから追い出すことに成功したとしても、その結果として発生する「強力で、ナショナリズムにあふれ、核武装した日」という現実は、中国にとって耐え難いものであろう。 もちろん台湾をめぐっての緊張関係は、戦略面で最も大きな危険性をはらんでいる。しかし中国政府で軍事計画を練る全ての人々が考

    ブレvsミア:まとめ | 地政学を英国で学んだ
  • 地政学を英国で学ぶ : ブレvsミア:その3

    ↑新刊:戦略の格言↑ イギリスでの留学生活を実況生中継。核兵器が全てを変えた――ブレジンスキーの反論 時には学者でもある私は、理論の持つ力には一定の理解を示しているつもりだ。しかし(少なくとも国際関係論の)理論というものは、質的に「後付け」の理論である。つまり、ある理論に一致しないような出来事が起こっても、その理論は(否定されるのではなく)単に修正されて行くだけなのだ。そして私はアメリカ中国の関係にもこれが当てはまるのではないかと疑っている。 我々は、覇権国が互いを社会的に消滅させることなく戦争に突入できた時代とは非常に異なる時代に生きている。すでに米ソ間の競争によって明らかになったように、「核の時代」というのは力の政治を変化させてしまったからだ。冷戦時代のにらみ合いの中で正面衝突が避けられてきたのは、戦争がエスカレートしていくプロセスの中に「社会の完全消滅」ということを組み込むこ

  • 地政学を英国で学ぶ : ブレvsミア:その2

    ↑新刊:戦略の格言↑ イギリスでの留学生活を実況生中継。バンビよりもゴジラになるほうが良い――ミアシャイマーの主張 中国が平和に台頭することはできないし、もし今後二・三十年間このまま劇的な経済成長が続けば、中国アメリカ戦争の可能性をかなり含む、かなり激しい安全保障競争を繰り広げることになるだろう。インド、日、シンガポール、韓国ロシア及びヴェトナムなどの中国周辺のほとんどの国々は、中国のパワーを封じ込めるためにアメリカ側に付くことになる公算が大きい。 アジアの将来を予測するためにまず我々に必要なのは、発展しつつある新興国がどのように行動し、それに対してその他の国々がその国々に対してどのように反応するのかを教えてくれる、一つの理論(セオリー)である。私の国際政治の理論では、最強の国家というのは自分の存在する地域で覇権(ヘジェモニー)を確立しようとするのと同時に、自分のライバルとなる

  • 地政学を英国で学ぶ : ブレvsミア:その1

    ↑新刊:戦略の格言↑ イギリスでの留学生活を実況生中継。巨人の衝突 二〇〇五年 一月 中国はミサイルよりも金をかせぐことのほうに興味があるのだろうか?アメリカは過去にソ連を封じ込めたように、中国も封じ込めようとするだろうか?稿では、戦略国際問題研究所顧問のズビグネフ・ブレジンスキーと、シカゴ大学教授のジョン・ミアシャイマーに、将来この二つの大国は争い合う運命にあるのかどうかについて、直接対決による論戦を行ってもらった。 戦争を行うのではなく、金を稼げ――ブレジンスキーの主張 今日の東アジアにおいて、中国はとりあえず現在のところまで平和的に発展している。ところが我々もすでによく知っているように、彼らは自分たちの歴史の一部に憤りや屈辱を感じている。中国においてナショナリズムが持つ力はかなり重要であり、外的な問題、特に台湾に関して、彼らは大きな不満を持っている。それでも米中間の紛争が不

  • 中東のシーレーンの危機? | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は朝から曇りがちのどんよりとした天候でして、午後には小雨がシトシト降ってきました。 さて、昨日は火曜日だったので毎週恒例の火曜のランチミーティングだったわけですが、一つ衝撃的なことを耳にしたのでそれについて一言。 昨日のランチミーティングのテーマはパキスタン人のコースメイトによる「パキスタンのテロについて」という内容だったのですが、私が気になったのは彼女の発表よりも(失礼)、その前に例の米空軍大佐がちょっとだけ語った内容でした。 彼が言っていたのは、最近ロンドンやヨーロッパ内で参加している米軍高官の間で、「中東のシーレーンの保護をやめよう」という議論が高まっている、ということでした。 もちろん最近ミアシャイマーやウォルトなどのように、政治学者などは以前からこういうこと(オフショア・バランシングという大戦略など)を議論していたわけで、この分野に詳しい人にとってはまったく衝撃

    中東のシーレーンの危機? | 地政学を英国で学んだ
  • 大佐の体験:その5 まとめ | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は曇り時々晴れの気持ちよい天候でした。そろそろ気温が下がりはじるようで、明日あたりから気温二ケタに届くかどうかという状態になるみたいです。 さて、今日もまた大佐の話のつづきです。 ==== ●これまでの話をまとめるが、とにかくここで重要なのは戦略から任務(task)までの流れだ。 ●これを別の言葉で言うと、政策の「目的」からこれを実際に行うための「手段」までのことだ。 ●しかし現在の戦争では莫大な量の官僚システムが関与してくるレベルが沢山あるのであり、馬の背にまたがったナポレオンのような皇帝と将軍が直接戦場に来て師団を同時に動かすことはできない。 ●もちろん私が経験したようなビデオ会議や、クラーク将軍の使っていたモニターなどでは、その名残を少しだけ見ることができる。 ●もちろん我々も自分たちのレベルでコンポーネンツを見ることができるモニターを管理している。 ●そしてグデー

    大佐の体験:その5 まとめ | 地政学を英国で学んだ
  • 大佐の体験:その4 | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は一日中曇りでして、明日の憂な月曜日のためか夏時間が終わって日が短くなったせいか、町中はいつもよりもどんよりとした雰囲気でした。 さて、今日もまた大佐の話のつづきを。 ==== ●ダグラス・マクレガーという人物は”Breaking the Phalanx” というを書いた陸軍の軍人で、この当時は現役の大佐だった。 ●この時の彼の意見はものすごく楽観的で、「クウェートにおいてある機甲部隊を使えば、たった36時間でバグダッドに到着できる」というものだった。 ●ところがこちらは空軍のしかもスペースパワーの担当なので、イラクとクウェートの間には何十カ所も橋があることなど、宇宙から撮影された映像を見ており、その提言がむちゃくちゃであることをわかっていた。 (ここでアメリカ人の若い先生が、「それに車両のためのガソリンとかどうするんだよなぁ」と間の手を入れて一同爆笑) ●そこで私は

    大佐の体験:その4 | 地政学を英国で学んだ
  • 大佐の体験:その3 | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部はまたしても曇り時々晴れでして、朝方にはかなり強い雨が降っておりました。午後遅くになってから晴れまして、それほど寒さを感じません。 今夜はハロウィーンなんですが、この日はやたらと花火が打ち上げられたり変装をしている奴らが大量にうろつくおかげでこっちで最も治安の悪くなりやすい日なので、とりあえず早めに帰って来て部屋でおとなしくしております。 さて、今日もまた大佐の話のつづきを。 ==== ●各階層でみんながすぐ上の階層の人のために働くという状態が出てくるわけだが、こうなると戦場全体で何が起こっているのかという視点がどうしても欠けてくる。 ●そうなると、空軍だったら「空軍だけのプラン」のために、それぞれの軍が各自で積極的な計画を練り始めるのだ。 ●ここでイギリス人のコースメイト(おそらく50代)から「こりゃ当に官僚組織の話じゃないか」と驚きのコメント。 ●大佐は、「まさにそ

    大佐の体験:その3 | 地政学を英国で学んだ
  • 大佐の体験:その2 | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は時々日が射す典型的な曇り時々晴れという天候。昼間はよいのですが、朝夕はかなり冷えこみます。 ここ数日で私の住んでいるところの周辺の街路樹が一斉に落葉をはじめまして、歩道は足の踏み場もないくらい黄色い落ち葉で埋め尽くされております。 さて、大佐の話のつづきを。 ==== ●「火星からきた男」と「金星からきた女」のように、とにかく完全に相手の意図はわからない。 ●とにかくこのようにして達成するのが不可能なものが存在するのだが、これをなるべく可能にしようとして我々はさらに階層を作ったり人を投入しようとするのだ。 ●たとえばアライド・フォース作戦が終了した78日後には、1400人の飛行機乗りが空軍が行う「エア・タスキング・オーダー」にたずさわっていた。 ●ところが私がターゲットを選ぶ作業にあたっていた「ストラテジー・セル」(strategy cell)にはたった十二人しかおらず

    大佐の体験:その2 | 地政学を英国で学んだ
  • 大佐の体験:その1 | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は朝から曇り空でして、昼間に少し日も見えたのですが、その後は雨も降らずにずっと曇り空のままでした。それほど寒くはないです。 さて、先日行われた火曜日のランチミーティングで米空軍大佐が話してくれた内容を。 すでにこのブログを昔からご覧の方はご存知でしょうが、私のクラスメートには米英をはじめとする現役の軍人たちが私の先生の元で博士号課程を学びに集結しているわけですが、とくにこの彼のような現役の大佐クラスというのは珍しく、しかもやっているのが「スペースパワーの新しい理論」ということもあり、私たちのコースメイトたちの間でも何かと話題の人物であります。 現役の米軍の将校ということもあり、ロンドンなどにもけっこう講演などに招かれるようで、連日イギリス国内を色々と忙しく飛び回っております。 また、アイルランド系ですからけっこう飲むのが好きで、我々に誘われるとパブに気軽に飲みに行きます。

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  • 「北朝鮮核実験・ミサイル発射」記念論文:その1/7 | 地政学を英国で学んだ

    今日の甲州は完全に初夏の陽気でして、半袖/サンダルで原付に乗ってもちょっと暑いくらいでした。 さて、北朝鮮が日の安全保障に対して次々といろんな脅威なことをやっておりますが、それを考える参考のためにと思いまして、私が数エントリー前で紹介した、冷戦当時に登場した抑止理論の「戦争勝利派」の有名論文を訳したものをここに紹介しておきます。 論文を書く合間に30分間くらいで超ソッコーで訳したのでかなり雑かも知れませんが、まあ出版するものではないので、あくまでも参考用に。 著作権の関係もありますので、誰のどういうタイトルの論文かはあえて言いませんが、とにかく当時(80年代初期)は話題になったものなので読んでみて下さい。 文中の「ソ連」を「北朝鮮」、そして「アメリカ」を「日」と置き換えて読んでみたら面白いかも知れません(笑) ご意見、ご感想をお待ちしております。 === 核戦争は起こりうる。しかし終末

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  • コックスの「理論」論 | 地政学を英国で学んだ

    今日の甲州は朝からよく晴れていて気温もぐんぐんあがっております。まるで初夏の陽気ですね。 さて、自分の論文と来月のスパイクマン(スピークマン)についての講演会の準備のために、先週あたりからリアリズムの理論をおさらいしておりまして、そこで気がついたことを少しここにメモっておきます。 リアリズム、特にネオリアリズムの理論を英米系の大学で少しかじったことのある方々ならご存知かも知れませんが、理論書としてはかなりスタンダード(というか古典)な部類に入るものとして Robert O. Keohane (ed.), Neorealism and Its Critics, (NY: Columimbia University Press, 1986) というがあります。 これはいわゆる「ネオネオ論争」の初期の集大成とでも言える論文集でして、ウォルツやギルピンなどがリアリズムを擁護し、それに対して批判的

    コックスの「理論」論 | 地政学を英国で学んだ
  • 戦略文化:その1 | 地政学を英国で学んだ

    イントロダクション 近年では多くの人々が、戦略の趨勢に「文化」(culture)というものが強力なインパクトを与えるものであり、最近の様々な事件によって文化が安全保障の中で果たす役割を探るという知的興奮を呼び起こすことになった、と考えはじめている。研究者や実務担当者たちは、戦後のイラクにおける民主制度の定着や米中関係、そして「テロとの戦争」で直面する問題を、「アイデンティティー」や「文化」というレンズを通して解釈するようになったのだ。よって章では、このような事柄を「概念的なツール」や「政策作りの際の基礎」となる「戦略文化」(strategic culture)というものに注目しながら考えていく。また、ここでは戦略文化のいくつかの「世代」(最近のコンストラクティビストのアプローチも含む)の学問的な業績が考察される。また、章では戦略文化の「所有権」の問題や、「非政府組織」、「国家」、そして

    戦略文化:その1 | 地政学を英国で学んだ
  • 戦略学の本のイントロ:その1 | 地政学を英国で学んだ

    ある戦略学ののイントロを私が試しに訳してみたものです。 このを翻訳するという企画自体はボツになったのですが、もったいないのでここに試訳を載せておきます。みなさんの参考まで。 どのかって?そんな野暮なことはあえて聞かないでください(苦笑 === イントロダクション というのは、その著者や国政担当者のような人々が考えている希望、恐怖、問題などによって形成される、ある特定の時代背景を反映していることが多い。この傾向は特に戦略や安全保障学、そして公共政策などで顕著だ。なぜならこれらの現代的な問題はこの分野の著者たちにとっては特に重要な意味を持つからだ。また、我々の努力は現在の脅威とチャンスを反映したものだといえる。たとえば我々が二〇〇〇年の九月に書の初版を発表した時には、戦略の古典から獲得した洞察を使って、戦略と戦略学が引き続き重要であるということや、現代の問題を分析できるということを証

    戦略学の本のイントロ:その1 | 地政学を英国で学んだ
    microtesto
    microtesto 2009/04/14
    続き物
  • 北朝鮮に対する「経済制裁」について | 地政学を英国で学んだ

    今日の甲州はやや霞がかっておりますが、朝から晴れております。家の周りの桃が満開で、まさに「桃源郷」という感じになってきました。 さて、北朝鮮がミサイル発射しましたが、それに対して日が行おうとしている「経済制裁」について。 実は経済制裁(economic sanctions)に関する文献というのは、皆さんもご存知のように「米ソ冷戦」という事情もあったせいか欧米のアカデミック界ではけっこう豊富でして、これに関するセオリーなんかはけっこう出ております。 その中で最も有名なのは、現在タフツ大学教授でブロガーとしても有名なドレズナーの「制裁のパラドックス」(sanctions paradox)かと思われます。 一般的に経済制裁というのは、武力行使というオプションがない場合に、脅威を感じた側(今回の場合は日)の国家の指導者が相手国(今回の場合は北朝鮮)に対して行う、かなりポピュラーな手段なわけです

    北朝鮮に対する「経済制裁」について | 地政学を英国で学んだ
  • 地政学を英国で学ぶ : 新しい翻訳書のタイトルを大募集!

  • 地政学を英国で学ぶ : 首切り戦略:その2

    microtesto
    microtesto 2007/04/19
    Warden vs Pape 論争について。
  • 地政学を英国で学ぶ : 首切り戦略:その1

  • 地政学を英国で学ぶ : アメリカの大戦略について:その3