【注意書き】 以下の文章は、『聖学院大学総合研究所Newsletter』18-3(2009. 1), pp. 4-5に掲載された研究ノートです。新任の自己紹介的な文章なので、その部分のみ、初出時からごく一部表現を改めている箇所があります。また、初出時にはなかった節の区切りとタイトルを入れています。 宗教を哲学することの終わり? 筆者はこれまで、現代フランス・イタリアの哲学、特にその現象学・解釈学に属する哲学者たちの思想を専門に研究してきた。近年その両国では、多くの哲学者が「神の死以後」という視点のもとで「宗教(的なもの)」をラディカルに主題とするようになった(そうした動向は時に「神学的転回」と呼ばれ、批判の対象にもなってきたが)。このような経緯から、筆者もまた、そうした宗教論を中心に研究を進めてきた。 ところで、近年この「宗教を哲学する」という試みは、大きく変化を迫られている(1)。従来