世界の多くの国が反対したイラク戦争。短期のうちに戦争が終了した際、アメリカは勝利を高らかに宣言した。しかし、戦後になると治安の回復はせず、事態は泥沼の様相を見せる。イラク人の死者はアメリカ軍の侵攻後10万人にのぼり、アメリカ兵の死者は3000人を数えるという。いったい何がイラクで起きているのか。イラク研究の専門家である酒井啓子さんに尋ねた。 イラク戦争は2003年3月に開戦、アメリカをはじめとする連合軍の侵攻により約2ヶ月という短期で終わったにもかかわらず、治安はいっこうに回復しません。なぜでしょうか。 まず戦争はなぜ短期で終わったかと言えば、イラク兵は、この戦争には勝ち目がないので、次の政権によって身の振り方を決めようという位置づけでいました。戦わなかったから短期で済んだと思います。 実際、フセイン政権自体は軍政だったわけではなく、軍も政権に不満を持っていました。そのため自分たちはフセイ