先の通常国会会期末での野党の審議拒否により、全国の自治体関係者が待ち望んでいた一つの法案が廃案となった。就労による自立支援や不正受給対策の強化などを盛り込んだ生活保護法改正案。5年前の「年越し派遣村」をきっかけに急増した生活保護が、財政を圧迫するまでに膨らむ自治体担当者は「不正受給を減らす切り札と思っていました。次の国会で、一日も早く成立させてほしい」と気をもんでいる。(大森貴弘) 「○○さんが、そちらに住んでいたときの納税状況を確認したいのですが…」 「個人情報の目的外利用なので、お答えできません」 けんもほろろな対応に、福岡市の福祉事務所のケースワーカーは、電話を切るしかなかった。 ケースワーカーは、福岡市への転入者が生活保護を申請する際、それまで住んでいた自治体に納税情報などを照会している。だが、反応は鈍い。 現行の生活保護法は、自治体に受給者の資産や収入の調査権限を与えているが、調