●吾妻渓谷と川原湯温泉は水没 2002年3月、八ッ場ダム予定地を見学した。 八ッ場(やんば)ダムは、群馬県吾妻郡長野原町に計画されている。“首都圏最後の水がめ”といわれており、町を流れる吾妻川をせきとめてつくろうとするものだ。この町には“関東の耶馬渓(やばけい)”と呼ばれるほどのすばらしい吾妻渓谷がある。また、大自然につつまれたたいへん静かな川原湯温泉もある。しかし、ダムの建設によって、渓谷のかなりの部分と温泉街のすべてが水没する。こんなすばらしい渓谷や温泉がなくなってしまうのかと思うと、胸がふさがれる。 私たちは吾妻渓谷を見学したあと、同温泉の旅館「柏屋」で八ッ場ダムの事業概要や諸問題などについて話を聞いた。話をしてくれたのは、群馬県自然保護団体連絡協議会代表の飯塚忠志さんである。飯塚さんは「八ッ場ダムを考える会」の副代表でもある。1日目の夜は長野原町会議員の牧山明さんも同席し、地域の実