日本銀行は、6月14日の政策決定会合で、国債の購入額を減額する方針を決めた。これによって金融政策は量的引き締めに転換することになる。 世の中の関心はもはや引き締めの進展に焦点に移ってしまっているが、実は、ここに到る過程で起きた日銀の本質に関わる重大問題がやり過ごされてしまっている。 前回の政策決定会合後の4月26日の日銀総裁の発言は、「日銀は円安を放置する」と受け止められ、急激な円安が進んだ。これも問題なのだが、もっと大きな問題は、岸田総理大臣が、植田総裁に発言の修正を求めたことだ。これは、日銀の独立性を侵す行為ではないか? 「歴史的な円安」とか「異常な円安」と言われる事態が、日銀総裁の発言で引き起こされたことは疑いない。 日銀の植田和男総裁は、4月26日の政策決定会合後の記者会見で、「(円安によって)基調的な物価動向に大きな影響が生じれば、政策の判断材料になる」とした。そして、「円安によ