ニュージーランドでは今、マオリの伝統的な知識を科学教育に取り入れようとする動きがある。国内で議論となっているこの取り組みについて、日本をルーツの一つにもつニュージーランドの分子進化学者は、科学分野で成果を挙げてきた日本の例から学べることがあると言う。 科学的発展はアジア諸国に学べ マオリに伝わる知識を科学に組み込もうという善意の試みが、ニュージーランドの複数の機関でなされている。 たとえばニュージーランドの高等教育における全国統一試験NCEAは、生物と化学においてマオリの知識を科学と同列に扱う試験的プログラムを計画している。また、大学の科学のカリキュラムやポリシーにおいても、同様の措置を取るべきとの提言も複数なされている。 こうした試みを望ましい動きだと受け取る者もいれば、懸念材料と受け取る者もいる。筆者はアジアにおける科学の視点から、この議論に一石を投じたいと思う。 なぜここでアジアの視