「完成後も、みんなに使われる橋や建物と違って、壊すものを造っとる。しかもそれが批判を浴びとる。やる気は上がらへんよね。税金の無駄遣いと思いながら、それで飯を食っていて、複雑な心境ですわ」 来年4月13日の開幕まで1年を切った2025年大阪・関西万博。象徴とされる木造の巨大環状屋根「リング」を建設する下請け企業の男性経営者が、取材に語った。 「張りぼてのまま開幕するんやろか」。大型トラックが次々と行き来し、重機が音を立てる夢洲(ゆめしま)の万博会場建設地や事務所で、建設会社の担当者や作業員らに話を聞いて回った。国策の現場で明らかになったのは、工事関係者でさえ魅力を感じていない現実だった。(共同通信=小島鷹之、武田惇志、岡田学時) ▽つぶすもん