2020年9月、都内で「スマートシティ」が相次いでオープンした。ソフトバンクの新本社が移転する「東京ポートシティ竹芝」と、羽田空港の天空橋駅近くに隣接する「羽田イノベーションシティ」である。 さまざまなロボットが動き回り、自律走行バスの運行する様子がテレビなどでも大きく報じられた。 しかし、これだけを見て、「スマートシティとは何か」を想像するのは難しい。日本でもにわかに注目され始めたスマートシティの過去、未来、そして現在を、3回に分けて探る。 「スマートシティ」の始まりはいつ? スマートシティというワードを聞くと、筆者は坂村健・東京大学名誉教授(現・東洋大学教授)が、1980年代後半に提唱した「トロン電脳都市」を思い起こす。人間のような頭脳(人工知能)を持ち、便利で効率的なサービスを提供する未来都市が描かれていた。 スマートシティも、都市・地域で生活する住民に必要不可欠なエネルギー、交通、