<円高でなく、円安の時にこそ日本経済は成長してきた。日銀は自国の物価や景気を見極めて行動すべきだ> 円安や円高は、国民生活にさまざまな影響を及ぼす。円高は輸入品を安くし海外旅行を容易にする。円安気味の現在、友人がボストン郊外に孫を訪ねた際に妻がけがをし、その手術が300万円もかかったが、これは円安の被害である。 これと逆に、円高気味の時には日本への旅行客が減って観光業は多大の被害を受ける。輸出産業は円高の際に製品が売れなくなり、輸入品と競争製品を作っている産業も同様に被害を受ける。このように各国民にとって為替レートの変動は時に正反対の影響を及ぼす。 円高にすぎるか、円安にすぎるかの論争で感ずるのは、何が正常な、あるいは望ましい為替レートであるかの議論なしに、過去いつの時点より円安だから、あるいは円高になったから、という議論が多いことである。円安、円高の望ましさを議論する際には、国民経済全体