冷たい空気がストッキングを通過する灰色の空の下を歩き、少し早めに会場に着いた。 ここは、友人と私の母校。いつもは学生食堂として使われているテーブルの数々に、白いクロスがかかり、銀色のカトラリーと花の装飾が並んでいる。 席次を見る。同級生は一人もいない。一人だけ、知っている名前が私の名前の隣に並んでいた。彼は、以前盛大にキレて縁をぶち壊してしまった社長だ。友人は、きっとこのことを知らなかったのだろう。 トイレに行ったり、荷物の整理をしたり、席次や食事のメニューを見たりしながら時間を潰す。会場には人が増えてきて、会話する声の総量が増大する。社交性のない私は、同じテーブルに座る知らない他人に会釈すらできなかった。 披露宴が始まる。扉の向こうから、新郎新婦が入場する。花とレースに身を包まれた小さな体が近づいてくる。友人は、ウエディングドレスが誰よりも似合っていた。 彼女は私と同じ、アダルトチルドレ