G7各国が順調に賃上げを行うなか、日本の賃金は低止まりを続け「一人負け」状態に陥っています。本記事では、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、日本の低迷する賃金の実態について解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」 統計で見る日本の賃金日本の賃金はOECD平均以下日本の賃金水準は、先進諸国と比較してどの程度なのでしょうか。OECDが公表している加盟国の平均賃金のデータを見てみましょう。 OECDの統計データベースでは、各国の平均年間賃金を、 (1)名目・現地通貨建て (2)実質・自国通貨建て (3)実質・購買力平価によるドル換算 の3つで公表しています。これらの中で、国際比較が直接可能なのは、購買力平価によるドル換算のデータです。 このデータから2つのことがわ