由紀精密(神奈川県茅ケ崎市)は、切削加工を中心に金属の精密加工での実績を持つ。2006年に開発部を立ち上げて、部品単体の精密加工にとどまらない、機能要素の設計や顧客への提案も行える態勢の構築に乗り出した。同社の開発部は現在、航空宇宙や医療機器、レコードプレーヤーなどさまざまな機器を開発している。21年8月には、高砂電気工業と共同で小型人工衛星用スラスターを開発したと発表した。宇宙開発の世界では、21世紀に入って重量100kg以下の小型衛星を数百から数万機打ち上げて全世界に通信や地球観測のサービスを提供する衛星コンステレーションの計画が次々に立ち上がりつつある。由紀精密は、スラスターという衛星コンポーネントで、この分野への本格参入を狙う。(聞き手は松浦晋也=ノンフィクション作家/科学技術ジャーナリスト)