新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行で、感染の有無を調べる方法としてPCR法という検査方法を耳にするようになりました。 このPCR検査、どういう検査法だかご存知ですか? なんでも、口や鼻にある粘膜からとった検体を使って、ウイルスのDNAにある遺伝子の一部を大量に複製させることで、とても小さいウイルスの存在をはっきりさせる、ということですが、遺伝子の複製ってどうやってやるのでしょう? DNAや遺伝子の検査や研究は、ウイルス検査以外にも、分子生物学の分野で広く行われています。ここでは、法医学の分野で、長い間DNAを鑑定してきた山形大学医学部の梅津和夫氏の本『DNA鑑定』から、PCR法のしくみを見てみましょう。 そもそもDNAとか遺伝子ってどう違うの? まず、何かと混同されがちな「DNA」「遺伝子」「染色体」「ゲノム」といった用語を整理しておこう。 頬の内側や歯茎などを採取用