「睡眠とは何か?」 「睡眠とは眠っている状態のことだ、当たり前だろう」という声が聞こえてきそうだが、「眠っている状態」を科学的に定義できるようになったのは脳波の発見以降で、近代科学史の中でも比較的最近のことである。 現在の脳科学では睡眠は「全脳的な脳波の周波数と波形」で定義されている。しっかりと覚醒している状態から深く眠っている状態まで脳波の周波数は段階的に遅くなり 、その途中で幾つかの特徴的な波形の脳波が出現することが明らかとなった。1968年にRechtschaffenとKalesらがそれら脳波の周波数や波形の組み合わせで睡眠と覚醒の区別や睡眠の深さを判定するルールを提唱し、現在でも世界中で広く使われている。そのため、脳波で定義された現在の睡眠は脳波睡眠とも呼ぶ。詳しくは第34回「睡眠の定義とは何か?―「脳波睡眠」という考え方」で紹介したのでご興味があればお目通しいただきたい。 さて、