六方むきは対角をむけ 師と仰ぐKさんがつくる小芋の炊き合わせが好きだ。上品な出汁を含んだちょうどいい塩気の小芋、散らされた青柚の皮が清々しい。なにより六方にむかれた寸分違わぬその姿に、毎度ため息がでる。 料理は見た目だ。見た目が八割だ! 美しく処理された食材はおいしそうに見える。こんな地味な料理なのに、食べてくれと訴えかけてくる。 自己流で六方むきをすると、芋の形によっては八方、ときには五方と、むいているうちに辺が増えたり減ったり。所詮家で食べるのだからご愛敬といってしまえばそれまでだが、ここで妥協していいものか…とくすぶっていたところ、師匠が教えてくれた。 「六方むきは対角をむけばいいんだよ」 んな…なぜこんな簡単なことなんで気づかなかったんだろう。小学生でも知っている図形の基本の基本ではないか。 八月にはいって里芋がちらほら出回りはじめた。これから冬にかけては里芋の皮をむきまくることに