全国民の代表である国会議員たちが集う東京・永田町の国会議事堂。一般人はなかなか立ち入れないその片隅に、知る人ぞ知る書店「五車堂書房」がある。代議士や秘書、政府職員らから「五車堂のおやじ」として親しまれる店主の幡場益(はたば・すすむ)さん(76)に、日本の選良たちの読書事情を聞いた。 開口一番、厳しい言葉洋品店や理容店などが立ち並ぶ参議院の地下。入構には厳重なチェックがあるため、通路を行き交う人々はみな、スーツの襟に身分を示す各種の記章を付けた関係者ばかりだ。外界から隔絶され、昭和の雰囲気も残す売店区画の一角に、五車堂書房はある。 約60平方メートルとさほど広くない店内には、政治をはじめ外交、安全保障や経済、法律など社会科学系を中心に約1万冊が並ぶ。新刊ハードカバーのほか、岩波文庫や中公新書をはじめとする各社の文庫、新書の棚もそれなりのスペースを占める。雑誌コーナーもあるがその面積は小さく、