「ドイツに長く住むトルコ系の人々は、我が国に対する大きな忠誠心(Loyalität)を培ってくれることを期待する」――。 8月末、メルケル首相はある地方紙の取材に答えて、そう言った。「忠誠心」という言葉は、最近のドイツでは滅多に聞かないので、ちょっとビックリ! ドイツにトルコ人労働者が大量に入り始めたのは60年代のこと。もっとも、彼らは勝手に入ってきたわけではなく、労働力の不足していたドイツと、貧困に喘いでいたトルコのあいだで、国と国が取り決めた話だ。この時にやってきたトルコ人が、ドイツ経済の発展に果たした役割は大きい。 ただ、仕事がなくなれば帰国すると思われていたトルコ人は、ドイツの好況が終わっても帰らなかった。 それからそろそろ50年、すでにドイツ国籍を取得しているトルコ人も多く、その子供や孫、ひ孫まで含めると、今やドイツに暮らすトルコ系移民は300万人にも上る。トルコ人は、すでにドイ