「なぜ数学を学ぶのか?」という問いは,算数・数学教育上もっとも大切にされるべき問いであり,また永遠に追究されるべき問いです. それゆえ,数学教育学において,目的・目標論としてこれまでにかなりの検討がなされてきています. 現在では,算数・数学教育の目的論は,次の3つの視座から整理されるのが通常となっています(例えば中原,2000*1;長崎,2010*2). 陶冶的目的 実用的目的 文化的目的 先日示された高校の新学習指導要領解説・数学編*3では,この3点から数学教育の意義が書かれています(p.8). このうち「陶冶的目的」とは,算数・数学を通して人間を育てることに関わる目的であり,例えば「自律的な態度を育てる」や,よく言及される「論理的な思考力を育てる」といったことがこの目的に該当します. で,前置きが長くなりましたが,簡潔にいえば,この陶冶的目的が本当に達成されるのかについて過去の研究成果
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