欧州と米国で、組み込みソフトウエア技術に関連する国家プロジェクトが進行している。クラウドとの連携を前提にしたとき、次世代の組み込み技術はいかにあるべきか。将来像と設計方法論を見据えて研究が活発化しつつある。「技術力は世界一」との自負を持つ日本の組み込み技術の将来展望を追う。 自動車業界やIT業界などのソフトウエア技術者、制御技術者、研究者などの間で現在、注目を集めているプロジェクトがある。米国が2006年に開始した国家プロジェクト「Cyber Physical Systems(CPS)」だ。 CPSというのはその名の通り、物理的な実体を持った組み込み機器(Physical)が、ネットワークを介してクラウドなどのITシステム(Cyber)と連携する姿を意味している。環境中に散らばる機器やセンサで得られた物理的な情報をITシステムによって集約し、システムそのものの効率的な制御や分析に役立てよう