このブログではヨーロッパの鉄道地図を各種取り上げてきたが、日本でも目下、画期的なシリーズが刊行中だ。昨年(2008年)5月の発刊から9ヶ月、ついに筆者の住む関西編まで揃ったので、ここで少し感想を記しておこう。 地図の電子化が進む一方で、アイディアを競うように実用本位の地図帳が書店の棚を賑わせている。このシリーズも、地図出版の傾向と鉄道趣味のブーム化とを追い風に企画されたに違いない。刊行予告の時点では、手を変え品を変えてよく作るものだ、となかば呆れて眺めていたが、第1号を手にとって少なからず驚いた。盛りだくさんの内容とこだわり抜いた編集、まさに日本の鉄道を徹底的に楽しむために作られた、他に類を見ない地図帳だったからだ。 新潮社刊「日本鉄道旅行地図帳」は、エリア別に北から12分冊とし、旧領土・植民地の別巻も予定されている。メインテーマとなる鉄道地図は、現状報告にとどまらず過去と未来にも目を向け