日本の図書館を陰から支える。 ハンドルを回すだけで、重い本が並ぶ書架が、滑らかに動く。狭いスペースで、多くの本を収蔵でき、閲覧も容易になる。大学や自治体の図書館に欠かせないハンドル式の「移動棚」の生産で、国内で堂々のトップシェアを誇る。 もともとは測量器械の販売会社だった。 戦後間もなく、初代社長の谷脇源資(げんし)会長(90)が叔父と2人で、大阪から熊本へ、商機を求めてやってきた。ますやはかりなどを、メーカーから直接仕入れ、販売する商売を始めた。博多や大阪の問屋を通さず、注文から数日後に客に届けた。その斬新さが、評判となった。 昭和32年、金庫やロッカーの生産に乗り出した。取引先の金庫メーカーが倒産し、この会社の従業員を受け入れたのだった。スチール家具のブームに乗って、売り上げを伸ばした。 スチール家具の中でも、特注品が多い金属棚に目を付けた。 転機は昭和41年だった。東京・永田町の国立