県文書館(福井市)が運用するデジタルアーカイブが、国立歴史民俗博物館(千葉県)などが進める市民参加型プロジェクト「みんなで翻刻」と連携した。古文書を一字ずつ現代の文字にする「翻刻」の作業にオンラインで誰でも参加できるプロジェクトで、県文書館が管理する「松平文庫」十二点の翻刻が始まった。 みんなで翻刻は二〇一七(平成二十九)年一月に運用が始まり、現在までに五千人の市民が参加して六百万字以上のくずし字が解読されている。解読は、みんなで翻刻のホームページにアクセスし、オンラインで行う。
東日本を直撃した台風19号は、少なくとも東京、千葉、静岡など十三都県の八十六公立図書館と十四大学図書館に甚大な被害をもたらしたことが、文部科学省などへの取材で分かった。同省にまだ報告がない長野県内でも複数の館が被害に。十二日の上陸以降、書庫が水没したり、雨漏りで本がぬれたりした現場で、職員らによる不休の復旧作業が続く。 「一週間も水に漬かってしまった。本を助けたいけど…」。泥と消毒液の臭いが立ち込める東京都市大(世田谷区)の図書館で、スタッフらがかびた本の整理や清掃をする。蔵書二十九万冊のうち九万冊を置く書庫を含めた地下が水没し、一階も足首まで水に漬かった。 千曲川の堤防決壊で大きな被害が出た長野市では、図書館分室のうち二カ所が浸水した。豊野公民館では一階が五十~六十センチ浸水。ロビーに並べていた書籍の四分の一にあたる千冊が水をかぶった。堤防決壊現場となった穂保(ほやす)地区の長沼交流セン
京都橘大特任教授を3月に定年退職した長浜市公園町の明定義人(みょうじょうよしと)さん(65)が、コレクションした自身の蔵書を終活のため市民に安く譲る古書店「六夢堂(りくむどう)」を、長浜市宮前町にオープンさせた。同市高月図書館長を20年間務めるなど本好きの実績を生かし、来店者に本を紹介。“本のソムリエ”の活動が評判を呼んでいる。 明定さんは、二〇一三年三月に高月図書館長を定年退職。翌四月から五年間、京都橘大文学部特任教授として図書館情報学を教えてきた。長年の本好きが高じて、これまで年間の書籍購入費は三十万円。大学を退職してからは、研究室にあった段ボール十五箱分の本を長浜市内の自宅マンション物置に運び込んだため、兵庫県加古川市の実家にある本も含め、蔵書総数は三万冊にもなった。 自宅や実家に置き場所がなくなり、苦渋の選択として、一九八〇年代に発刊された単行本や雑誌などを中心に、一部を販売するこ
各地の平和資料館に、戦争体験者の遺品の持ち込みが相次いでいる。本人に代わって、重い体験を後世に伝える役割を担うが、手狭な収蔵スペースや人手不足の問題から受け入れを拒まれることも。散逸を危ぶむ識者からは、国などによる公的な関与の強化を求める声が上がる。 「捨てるには、忍びないから」。名古屋市緑区の柳下隆さん(78)はこの夏、中国から復員した父の故・徳次郎さんのヘルメットや出征旗、背嚢(はいのう)(リュック)など八点を「戦争と平和の資料館ピースあいち」(名古屋市名東区)に寄贈した。 徳次郎さんは復員から五年後の一九五一(昭和二十六)年、戦地で患った病気の後遺症で四十七歳で亡くなった。小学六年だった隆さんは、出征中の話を詳しく聞いたことがない。遺品は自宅の押し入れで長く保管してきたが、改築を機に「後世に戦争を伝えるのに役立ててほしい」と寄贈を決めた。 同館では四百二十五人から約二千六百点を受け入
岐阜大(岐阜市)は創立七十周年を迎える二〇一九年度から、キャンパス内に分散して保管している古文書や標本などの学術資料を集約し、一般に公開する「キャンパスミュージアム」を始める。収蔵庫や展示ギャラリーを新設するほか、教育学部など三学部に専門性が高いサテライト館も設け、緑豊かな散策ルートでつなぐ計画だ。 岐阜大教育学部は古くから日本列島の植物研究が盛ん。八万点を超える貴重な標本があるが、現在は学部棟にある収蔵部屋で眠っている。同じ棟には郷土博物館があり、前身の旧制岐阜師範学校から受け継ぐ五万点超の古文書、二千点以上の土器などの考古出土品も所蔵している。ただ、開館は事前申し込みがあった時に限られ、一般にはあまり知られていない。
松本市図書館のキャラクターが誕生した。ニホンリスをモチーフにした「ライブラリス」で、図書館を意味する英語の「ライブラリー」とリスから名付けた。毎月発行している「市図書館だより」が五十号になったのを記念し、デザイン案を職員から募集して初めて作った。市中央図書館(同市蟻ケ崎)など市内にある十一図書館で活用され、読書の呼び掛けなどに一役買ってもらう考えだ。 ニホンリスは冬眠しないためライブラリスも「一年中本を読んでいる」との設定。本を持ち、バッグを提げており、尻尾には「matumoto」の文字がつづられている。つぶらな瞳が特徴で、親しみやすいデザインには「小さい子どもからお年寄りまで、幅広い年代の方々に図書館を利用してほしい」との願いを込めた。
愛知や岐阜県内の図書館で、学校史が切り取られたり破られたりした問題で、福井県立図書館(福井市)など県内の少なくとも6つの公立図書館も同様の被害に遭っていたことが分かった。被害は計100冊以上、900ページ以上に及ぶという。 県立図書館では、2015年12月に利用者の指摘で被害が判明。所蔵する小中高校の学校史のうち、1968~2014年発行の93冊、計786ページで破損が見つかった。特に集合写真の部分が多い。美方高(若狭町)の10年史では、1冊194ページのうち約50ページが破られていた。 同館は16年3月以降、学校史を開架スペースから閉架書庫に移し、閲覧を制限。破損部分は、他の図書館所蔵の学校史を複写し補ったほか学校から予備の寄贈も受けた。警察に被害届を出すことも検討している。 勝山市立図書館は4日、集合写真や学園祭の写真など、6冊で計136ページの被害を確認。他に越前市中央図書館、
岐阜県図書館(岐阜市)は1日、所蔵する県内小中高校の学校史や記念誌など図書10冊のページの一部が切り取られていたと発表した。被害は計130ページに及び、同館の被害届を受けて岐阜南署が器物損壊容疑で捜査している。 同館によると、休館日の4月28日午前、郷土資料コーナーの書架を整理していた司書が刃物で切られたり、破られたりした跡がある図書1冊を見つけた。同じ分野の462冊を調べると、他にも9冊見つかった。 同コーナーは来館者が閲覧できるが、10冊はいずれも貸し出し禁止の非売品だった。昭和40年代から平成初期までの学校行事の写真や氏名を記した卒業生の集合写真などで、住所や電話番号は含まれていない。1冊で30ページほど切り取られた図書もあった。 県図書館は翌29日から、企業や団体史なども含めた計492冊を、来館者が立ち入れない書庫に移した。職員の巡回を増やすことも検討している。担当者は「書庫
富山大付属図書館(富山市五福)で、大学院生が後輩の「学修相談」に応じるブースを構えている。特に四月に入学したばかりの新入生には頼りになる存在で、図書館情報課の伊藤芳人さん(35)は「身近な大学院生だからこそ、気軽に相談できるはず」と活用を呼び掛ける。 ブースは毎週水、金曜日の午後一時から二時間、図書館の正面玄関に設置。文系と理系の大学院生が交代で一人常駐する。リポートの書き方や図書や論文の探し方、学生生活など幅広い相談に答えている。図書館が企画し、昨年十月の後期から開設。七人の大学院生が担当しブースに常駐するほか、資料の集め方やワードやエクセルで論文を書く方法に関する講座も開いた。 本年度は十九日からブースを設けた。初日は数学を専攻する大学院生が数学の勉強方法について相談に乗った。二十一日は人間発達科学研究科の修士一年三井聡さん(22)が担当。「新入生の時、図書館の資料の種類がありすぎてど
名古屋大(名古屋市千種区)が今秋、全国でも珍しいジェンダー(社会的性差)をテーマにした図書館を開設する。ジェンダー関連の書籍四万冊を所蔵し、国内の研究、教育拠点として活用する。このほか、男女共同参画センターの新設や女性管理職、研究者の積極登用など、女性が輝く大学へ向けアクセルを踏み込む。 名大はこれまでも女性が活躍できる環境整備に力を入れており、二〇一五年には国連の女性機関「UN Women」が、女性の地位向上に積極的な世界十大学の一つに選出している。 ジェンダー問題は歴史、経済、社会、科学、医療など幅広い分野に及び、関連図書も膨大となる。国内の大学では、お茶の水女子大のジェンダー研究センターが専用書架を備えるなどしているが、多量の書籍や資料をまとめて閲読できる施設は少ない。
県立恐竜博物館と東急ハンズ(東京)は、「いい夫婦の日」の十一月二十二日に館内で開く結婚式「ダイノ・ウェディング」での挙式を希望するカップル二組を募集している。三月末まで。 挙式当日は休館日で、式のための貸し切りとする。ティラノサウルスの全身骨格などが並ぶ館内で、誓いの言葉や指輪の交換などがある。県内出身のフランス料理店オーナーシェフ、秋元さくらさんが県内の食材を使った婚礼膳を手掛ける。 募集するのは県内、県外から一組ずつ。東急ハンズのウェブサイト(「ダイノ・ウェディング」で検索)で、応募動機などを記したエントリーシートを提出。四月上旬にカップルを決める。基本料金は五十人で三百五十万円(税別)。博物館の担当者は「恐竜に囲まれ、不滅の愛を誓ってもらえたら」と話す。
ニヒルな個性派俳優として人気だった根津甚八さんが29日、深部静脈血栓症および肺塞栓(そくせん)症による肺炎のため東京都内の病院で死去した。69歳だった。葬儀・告別式は故人の遺志により近親者のみの密葬で行う。舞台、テレビドラマ、映画などで活躍したが2001年ごろに目の病気を発症。交通事故を起こし被害者が亡くなったことで活動を自粛、うつ病なども発症し、10年に俳優を引退していた。 ギラギラした時代のアングラ演劇の闘士がまた1人、幕を下ろした。根津さんは9歳で川崎市に引っ越し、日大三高時代に演劇に目覚めた。67年に獨協大学に進むと、演劇研究会に入会。全共闘運動の嵐のさなか、肉体を表現手段とする唐十郎の考えに共鳴、大学を中退し新宿・花園神社の紅テントで活動する状況劇場に飛び込んだ。 安定した演技力はもとより、陰のある表情がファンをひきつけ、一躍トップスターに。なかでも71年「少女仮面」の腹話術師で
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