震災の津波に遭った塩釜市港町2丁目で5年半親しまれた、私設の絵本図書館「うみべの文庫」が今月、閉館した。運営してきた長谷川ゆきさん(64)の体調不良のためだ。「被災地の子どもたちに」と全国から集まった絵本など約5千冊は市が引き継ぎ、子どもたちに公開されている。 以前から絵本の読み聞かせに取り組んできた長谷川さん。家庭文庫を開くために少しずつ集めた絵本は、約800冊になった。オープンを間近に控える中で迎えた2011年3月11日。酒店だった自宅1階は津波で浸水、絵本はたった2冊を残して全て流された。 被災の様子を知人がホームページで紹介したところ、全国の出版社や見ず知らずの人たちから続々と絵本が寄せられた。それらをもとに12年11月、自宅の一室でうみべの文庫のオープンにこぎ着けた。文庫では絵本の読み聞かせも行い、多くの親子連れが訪れた。 だが、長谷川さんが体調悪化…