食品の放射能汚染とフードファディズム 「『普通』の食事、してますか?」 高橋久仁子・群馬大学教授が問う ――東日本大震災、そして福島第一原発の事故が起きてから10カ月が経ちました。4月からは食品の放射性物質に関する規制値が見直されます。食品の専門家である高橋先生のもとにも様々な質問が寄せられたのではないでしょうか。 いくつかの消費者団体などから、「何の食材、どこの産地を避けるべきか」「放射性物質を排出する食べ方はあるか」といった内容の質問がありましたが、私は一貫して「ジタバタせずに、『普通』の食生活を送るべき」と回答しました。食品を避けることは個人の自由だとしても、「放射能を排出する食べ方」は、栄養学的に意味がないからです。 しかし、週刊誌やインターネット上では、幾度となく「放射能を排出する食べ方」が指南されてきました。このような、「ある食材や調理法によって放射性物質が排出される」という考