松井茂記『図書館と表現の自由』岩波書店, 2013. 著名な法学者(参考)が、公立図書館における「表現の自由」を検討した書籍。公立図書館を「限定的パブリックフォーラム」と捉え、資料の提供の適法なケースとそうでないケースを明らかにしてゆく内容である。8章以降の、法に触れる内容を持つ所蔵資料や裁判で係争中の所蔵資料等に対する、適正な利用制限の基準を検討した部分は、現場での対応を判断するための参考文献としておおいに役に立つと思われる。図書館ならばマストだろう。 全体を通じて図書館と表現の自由の結びつきが強調され、図書館関係者を喜ばせる内容になっているように見える。しかし、よく読むとそうではない。重要なことはさらりと書いている。 憲法21条は一般に自由権であって、政府が国民の持つ自由を不当に侵害しないことを求めている考えられてきたので、その憲法21条から政府に一定の行為を積極的に義務づけているとい
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