2010年10月12日10:15 カテゴリ書評/画評/品評Code 「巌流島」で終わらせないために - 書評 - 決闘ネット「光の道」革命 文藝春秋樋渡様より献本御礼 決闘ネット「光の道」革命 孫正義 vs 佐々木俊尚 面白い。かつ分かりやすい。大本のUsteamの議論の臨場感を損なわず、しかしリアルタイムだとどうしても見落としがちな資料がしっかり反映されており、「対談本」の作り方のお手本に仕上がっている。 だからこそ、こう嘆息せざるを得ない。 もしこれが「巌流島の戦い」だとしたら、大失敗もいいところだな、と。 本書「決闘ネット「光の道」革命」は、今年五月に行われた「光の道」対談、いや対決を書籍化したもの。 『決闘 ネット「光の道」革命』(孫 正義・著?,?佐々木 俊尚・著) | 文春新書 ほか | 書籍情報 | 文藝春秋 2015年をめどに民主党が推し進める「光の道」構想。日本の全世帯に
2010年07月21日18:00 カテゴリ書評/画評/品評Art 一読してご卵 - 書評 - 金の卵 築地書館佐々木様より卵とともに献本御礼。 金の卵 佐藤剛史 / 早瀬憲太郎 いや、卵のついでに、本書を頂いたというべきか。 「つまんでご卵(らん)」とはよく言ったものだ。名前はシャレだが味はガチである。これなら一個50円は高くない。 この卵がどうやって生まれたかが、本書である。卵に劣らぬ傑作である。 本書「金の卵」は、養鶏ビジネスを根底からくつがえす一冊。 目次金の卵より はじめに - 胸を張って、農業で儲ける! 第1章 ニワトリを幸せにするための農業ビジネス 「最初にやる」が大事 -- 黄身を指でつまむ!? ネーミングがブランドを作る お客様目線を大切にする 広告はしない、けれどマスコミを大切にする 五〇年間、卵の価格が変わらないのはなぜ? ニワトリのSOSを見逃さない 第2章 ニワトリ
→紀伊國屋書店で購入 「孤独死と自殺の現場処理をするという仕事がある。」 ご縁があって、孤独死現場となった部屋の特殊清掃をすることを生業とする社長と立て続けに出会った。1人は女性。1人は男性の社長である。 おもしろそうな仕事だと思い、現場を見させていただきたい、と話した。1人は、見せられない、ひとりは是非見て欲しい、と言った。 まだ僕は現場を見ていない。 友人のノンフィクション作家が浜松に遊びに来たとき、事件現場清掃人について「週刊プレイボーイ」に連載されている、すごい現場だぞ、と言う。じつは、その業界の知り合いがいる、と話しが弾んだ。 短期間で3人の人間から、特殊清掃の世界について教えられた。しかし、断片的な情報だけである。 まとまったノンフィクションを読みたい。そこで「事件現場清掃人が行く」を手に取った。 孤独死や自殺がニュースになっているが、「特殊清掃」とはその現場を清掃して復元する
・横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力 長い絶版時期にはオークションで8万円の値をつけた名著の復刊。 任天堂といったら宮本茂と並んで、横井軍平。「枯れた技術の水平思考」という有名な言葉でも知られる。ウルトラハンド、光線銃と数々のおもちゃでヒットを飛ばし、任天堂が電子ゲームの方向へ向かう「ゲーム&ウォッチ」をつくり、「ドンキーコング」をつくり、さらには「ゲームボーイ」をつくった伝説のゲームデザイナー。 任天堂への就職から次々に開発した商品を時系列で、本人の談を交えながら紹介している。花札メーカーの任天堂に設備の保守点検係として就職した横井は、大学で学んだ理系の知識を持てあましていたそうだ。あまりに暇な日常業務の日々に、旋盤を使いにゅっと伸びるマジックハンドを自作して会社で遊んでいたら、それを見た社長の「商品化しろ」という命令が横井の人生を大きく変えた。 横井軍平は技
・情報楽園会社 『情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの起業』(徳間書店刊・1996年)に加筆して復刊。カルチュア・コンビニエンス・クラブ社長の増田宗昭氏が語るCCC成功の原点。14年前の本であるが、現代のネットビジネス文脈でも活かせる知恵が書かれている。 前半のTSUTAYA創業の回想録では、増田社長がドキドキしながら、一店舗目を開業した思い出を語る。当時の小さな店舗の写真や、手書きの企画書が、千里の道も一歩からだったのだなあと思わせる。 当時、自分が何を考えていたかが語られる。増田流はとにかくわかりやすい。たとえばコア事業のレンタルビジネスの説明。 「レンタル業とは、一言でいってしまえば金融業である。八百円で仕入れたCDが、レンタル料金百五十円を生む。このレンタル料金百五十円の実態は、金利に他ならない。なぜならお客さんに貸し出されたCDそのものは、翌日に返却され、また次の人
・教養としての官能小説案内 まず著者紹介に目がとまった。 「1933年東京都に生まれる。40年以上にわたり、年間300編の官能小説を読みこなし、新聞、雑誌などに紹介しているこの分野の第一人者。」 この人、40年間×300編で累計12000編以上の官能小説を読み続けてきたのか。それだけで十分に、ちょっとお話を聞いてみたくなる数字だ。 「人間の性欲は、それほど動物的にはできていない。「女性器に男性器を挿入した」という文章を読んでも、現代人はもはや刺激を受けないのだ。官能小説家たちは、われわれの贅沢で多様な欲望に応えるため、ストーリー設定や主要キャラクターの造形、あるいは性交・性器病者の技法、さらにはタイトル付けなど、あらゆる側面でその表現を深化させてきた。」 美少女、人妻、女教師、くノ一、尼層、少年もの、性豪もの、凌辱系や癒し系など多種多様なジャンルにおける文学史を、年代順で代表的な作家の作品
「dwango.jp」のロゴが現れる着メロのテレビCMに見覚えがある人は多いかもしれない。「ジリリリリン、電話だよ」。GACKTさんがこうつぶやくCMも話題になった。 「ドワンゴはニコニコ動画だけではない」と、川上量生(のぶお)会長は言う。川上会長が1997年に創業した同社は、ゲームの受託開発を手掛け、着メロや着ボイスでヒットを飛ばし、ニコ動という新しいフィールドに踏み出した。 その歴史を草創期から振り返る書籍「ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語」(佐々木俊尚著、アスキー・メディアワークス)が、10月10日に発売される。「ニコ動がヒットしている今なら興味を持ってもらえるのでは」と、“社史”出版を決めた。 「ニコ動でたまたま当てた会社」ではない 「ドワンゴは、ニコ動でたまたま当てた会社だと思っている人も多いだろう。“ぽっ”と出てきたよく分からない会社と思われているかもしれない」――そう
・安原製作所回顧録 カメラ好きでベンチャー精神の人は絶対に読もう。面白すぎる。 著者は1997年に、たったひとりで世界最小のカメラメーカー「安原製作所」を設立し、「安原一式」「秋月」という名前のフィルムカメラ2機種を世に送り出した伝説の人。元京セラ出身のエンジニアなので技術は分かったが、経営は素人、カネはないし、会社を離れたら信用もない。ないないずくしの状態から、過去に例がない零細カメラメーカーを興していく起業物語。 「今は良いメーカーの良い製品だけが存在している時代だ。人の生き死にに関わる製品ならそうあるべきだが、それ以外ならあやしいメーカーのあやしい製品があったほうが面白いと考えるのは私だけだろうか。安物の服を買って洗濯したらばらばらになった。これを友達に話すネタができたと考えるのは心が豊かなことではないだろうか。」 ユニークな会社であるが故にマスコミには200回以上取り上げられ「一式
→紀伊國屋書店で購入 「ピアノ調律師」という職業をご存じだろうか。平たく言えば「ピアノの音を合わせてくれる専門家」なのだが、この技術者なしでは世のピアニストは生きていけない。 ピアノは、楽器としてはとても複雑で大がかりな構造にできている。ふつうのピアノの鍵盤数は88だが、ひとつの鍵盤(音)に対して複数の弦が張られており、その総数は約230本、そして心臓部である打弦アクションは4,700〜5,000個もの部品で構成されているのだ。これらがなめらかに動くようバランス良く調整し、演奏家が心を込めて弾けるように整えるのは、生半可な仕事ではない。本来は聴覚が頼りの職業だが、手先の器用さはもちろん、音響学をはじめとする物理一般に対する知識も欠かせない。 ピアニストと調律師の関係は、車のドライバーと整備士の関係に似ている。車は運転できても、整備や修理は別問題だ。F1レースに登場するようなトップレベルのド
2ちゃんねる元管理人の西村博之(ひろゆき)氏が、このほど出版した著書「~僕が2ちゃんねるを捨てた理由~ネットビジネス現実論~」(扶桑社、777円)で、2ちゃんねる(2ch)をシンガポールの企業に譲渡した理由を明かしている。 ひろゆき氏は今年1月2日、ブログで2ちゃんねるを海外企業に譲渡したことを明かし、新春のネット界を仰天させた。譲渡の理由を問われても、「謎のままのが面白い」として語らず、ネット上では「管理に疲れたのでは」「訴訟対策では」といった憶測が流れていた。 著書によると、譲渡の最大の理由は、2chの運営に関して、ひろゆき氏のやることがなくなったこと。「やることといえば、2chのボランティアの人同士がもめたときなどに仲裁に入るぐらい。しかも、『メガネ板とコンタクト板を分けるべきか?』といったどうでもいい話でもめた時の仲裁に入るくらいだった」そうで、「それだけの仕事しかなかったのに、2
児玉さんは、すごい。私にとっては「尊敬する書店人の一人」であり、「熱く燃える書店員」であり、「同業他社のライバル」でもあり、「ともかく人間として素晴らしい知人」なのであります。 初めて某PR紙の書店員対談でお会いした時には、残念ながらもう車椅子の生活を送られていらっしゃいましたが、東京での会合にわざわざ広島からいらっしゃり、ハンデなどもろともせずに会合後も「都内の本屋を見て回るんだ」と鼻息も荒く、素敵な笑顔で大好きな作家藤谷治さんや森絵都さんのことを話していらっしゃいました。 年一回開かれる本屋大賞の受賞式にも常連でご出席。「仲間が頑張っていて、年に一度でもこうやって顔を合わせられるのは、楽しい」と。そうか…書店員は他社の人間でライバルでも、こうやって繋がっていけるのだなと教えていただきました。 本の雑誌社さんのHP“WEB本の雑誌”での連載を読ませていただき、それまで知らなかった闘病
すごい本屋! 作者: 井原万見子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2008/12/19メディア: 単行本購入: 17人 クリック: 117回この商品を含むブログ (33件) を見る日本一すごい本屋さん、イハラハートショップの物語。 以前も少し当ブログで紹介させていただいたことがあります、住人わずか100人という和歌山の美山村にある本屋さんの本です。本当に残念なことに、私はこちらのお店を訪問したことが無いのですが、なぜこのお店がすごい本屋さんなのかって、この本を読んだだけで十分伝わってきました。 何かですね、読んでるうちに目頭が熱くなり、何度も泣きそうになりました。イハラハートショップの名前の由来から始まって、開店にいたった経緯、その店に寄せる人々の想い、そして何よりも村の方々のために日々心を尽くす店長の井原さんの姿が、とても鮮烈で、心が洗われるような思いで読みました。こんなにお客様
→紀伊國屋書店で購入 「セゾンの失敗から学ぶ」 東京在住時代、西武新宿線沿いに住んでいた。西武鉄道は移動の足だった。 その経営母体である西武鉄道グループの代表である堤義明が、粉飾決算(証券取引法違反。有価証券報告書の虚偽記載)で逮捕されて辞任。その後、有罪が確定。堤義明といえば、長野オリンピックの黒幕として、月刊誌『噂の真相』などのメディアで批判され続けてきた、西武グループの独裁者である。マスコミはこの独裁者への批判をすることなく、長くその体制を看過。刑事事件に発展してから、集中砲火を浴びせ、堤義明は社会から抹殺された。このため、なぜ堤義明という独裁者が登場したのか? という歴史の証言をひきだすことが困難になっている。 しかし、同じ西武グループでも、堤清二(堤義明の異母兄弟のひとり)は饒舌である。文人として「辻井喬」として活躍しており、堤清二の経営者の顔とを自由に使い分けながら、歴史に記録
→紀伊國屋書店で購入 「Wozに訊け!」 Apple創業者のひとりSteve Wozniak(Woz)の自伝である。 Gina SmithというライターがWozに55回もインタビューして本にしたらしい。 もうひとりの創業者であるSteve Jobsは超有名であるが、 WozはAppleを成功に導いたApple IIの設計者であるスーパーエンジニアであるということはエンジニア以外にはあまり知られていないようである。 Wozの凄さを知るために、ぜひ多くの人に読んで欲しいと思う。 Wozは父親の影響をうけてエンジニアリング魂に目覚め、 小学生のころからアマチュア無線をやったり発明工作賞みたいなのを獲りまくったりしていたのだが、 中学のころからは論理回路や計算機に目覚めてその方向のハッキング力を炸裂させてたらしい。 Wozはとにかく論理回路をエレガントに小さく作ることに執念を燃やす人物で、 回路を
→紀伊國屋書店で購入 「物語のおわり」 『ボン書店の幻』が文庫に! 早速、パソコンと本の山をむこうへ押しやり、ひといきに読み、呆然となる。白地社版を読んだときもおなじだった。二五〇頁ほどのボリュームの本を読んだという気がまったくしないのだ。著者に導かれ、レスプリ・ヌウボオの風に吹かれ、きらめくような書物たちのあいだをくぐり抜け、気がつけば「彼」は消えてしまっていた。まるで一瞬のできごとのようなこの読後感が、「彼」――ボン書店・鳥羽茂の印象とかさなる。 一九三〇年代はじめ、「モダニズムの時代」も後半にさしかかった頃にあらわれた出版社・ボン書店は新しい詩への夢とすぐれた造本感覚でもって、当時の若きモダニズム詩人たちの詩集やシュルレアリスム文献を世に送りだした。 そのはじめての出版は昭和七年の夏、竹中郁『一匙の雲』と北園克衛『若いコロニイ』である。「生キタ詩人叢書」というシリーズとしてだされたこ
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