鳴り物入りでプロデビューしたルーキーとの初対決は、常勝ライオンズが誇る2人の主砲に大きな衝撃を与えた。ストレートか、フォークか。三振か、ホームランか。記録を超えた、潔いほどの果たし合い。勝っても負けても、彼らはなぜ、野茂英雄に惹きつけられたのか――。 初出:「Sports Graphic Number 1009号」(2020年8月20日発売)<AK砲が明かす真剣勝負の舞台裏>清原和博&秋山幸二「2分の1のスリルと100%の純情」(肩書等すべて当時) 西陽に照らされた藤井寺球場は、いつもより空席が目立たなかった。 1990年4月10日、平日の夕刻から駆けつけた人々の目当ては、これがプロデビュー戦となるルーキー野茂英雄であった。 《こういうことか……。このピッチャーとはそういう巡り合わせなんやな》 1回表、西武ライオンズの4番、清原和博は半ば呆れながら打席に立った。 ノーアウト満塁。そんな状況