村民を熱狂させた祭も午後11時半ごろにはお開きとなり、幌新地区の支線の沢や本通筋から祭りに参加していた一団[注釈 2]も、夜の山道を家路へと急いでいた。 被害者を襲ったものと同種のエゾヒグマ 一行が幌新本通りの沢に差し掛かったところ、小用のため50 mほど遅れて歩いていた林謙三郎(19) [注釈 3]が、突然現れた巨大なヒグマに背後から襲われた[2] [4]。 しかし、まだ若い彼は死力を尽くして暴れ、帯や着物を裂かれながらも何とか脱出に成功する。そして恐怖に怯むこともなく、前方を歩く一団に急を知らせた。 一方、先回りしたヒグマは一団の先頭部を歩いていた村田幸次郎(13)を撲殺し、幸次郎の兄・与四郎(15)に重傷を負わせた。そして、幸次郎の遺体を腹部から食い始めた[2]。 恐怖とパニックに陥った一団は、そこから300 mほど離れた木造平屋建ての農家・持地乙松 宅に逃げ込み、屋根裏や押入れの中