創薬ベンチャー「オンコセラピー・サイエンス」(本社・川崎市)は17日、治療薬のなかった、がんの一種「滑膜肉腫」に対する世界初の抗体薬の臨床試験(治験)を12月からフランスで始めると発表した。 抗体薬は、中村祐輔・東京大学教授らが開発した。滑膜肉腫は、太ももや膝などにできる悪性腫瘍で、主に10代~40代で発症する。中村教授は、ゲノム(全遺伝情報)解析技術を活用して、滑膜肉腫の患部に特異的なたんぱく質を発見。抗体薬は、このたんぱく質を狙い撃ちする抗体に放射性元素を結合させたもので、肉腫を放射線で攻撃する。 中村教授は現在、内閣官房医療イノベーション推進室長で、日本発の医薬品開発の旗振り役。当初、国内での治験を目指したが、補助金が得られずに断念。熱心な誘いがあったフランスで治験を行うことになった。